日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

女は夜霧に濡れている   1962年 大映

監督 井上芳夫 脚本 井上芳夫

出演 叶順子 田宮二郎 藤巻潤 安部徹 浦辺粂子 岸田今日子 江波杏子

 

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立身出世の建設会社社長、安部徹の二号となり高級マンションで退屈な生活をおくっている叶順子。彼女には元同僚で今は銀座でバーのママをしている岸田今日子が親友だ。

たまにバーを訪ねては岸田にブラブラしていても仕方ないから働きたいなどという。

 

その夜は叶順子の誕生日だったが、安部徹は別の女性と逢引きし、叶へはデパートからステレオを届けさせた。そのステレオを届けるために叶の帰りを待っていたのが大学4年でデパートで配送のアルバイトしている藤巻潤。叶は藤巻に新鮮な魅力を覚える。

 

ここででてくるデパートは丸物デパートで、後日藤巻が忘れて行った講義?のノートを届けた後に藤巻とデパート屋上の乗り物に乗る。三和銀行の建物がみえる。

 

藤巻は入賞したらアメリカへ留学できるというコンテストに応募するために仲間と勉学に励んでいる。そんな藤巻を暖かく見守る叶だが、ある日安部徹に今度建築設計の責任者と入社した男性を紹介される。それは昔やはりアメリカ留学のために自分を捨てた男、田宮二郎だった。

叶は世間からは安部徹の奥様と呼ばれているが、安部と行ったナイトクラブに安部の娘が居合わせ、暗に二号と責められて叶は苦しむのだ。

ゴルフ帰りの安部が田宮二郎をマンションに連れてきた。接待を断る叶に事情を知らない安部が平手打ち・・・田宮二郎も叶に未練たっぷりで面倒なので自分は二号であることを言い、また田宮とよりを戻す気も全くないというのだが・・・。

 

方や藤巻とはキレイな間柄で叶は会うたびに胸が高鳴る。藤巻の大学の下級生でやはりデパートでアルバイトしているのが江波杏子。若い。

 

叶が働きたいということ知って、藤巻は銀座で着物店を営んでいる同級生に頼んで叶の就職を世話する。毎日が楽しい叶だ。藤巻との愛を感じた叶は安部に別れを切り出すのだった・・・

 

まぁ他愛ない悲恋ものだがなんだか続編を思わせるような終わり方だったが続編はつくられなかったようだ。

叶順子を初めてしったのは「鍵」という映画だったがこの映画の叶は美しかった。

 

また、演出もよくて安部に別れを切り出した帰り道、叶が歩きながら鉄?の欄干?を持っているハンドバッグの金具でカンカンと音を立てながら歩いて行く場面なんか最高でした。

日比谷公園で藤巻が自分の故郷の白樺の話をした際に木に顔を寄せて目をつぶる叶とその表情をみて思わず接吻してしまう藤巻のショット。特に目をつぶった叶は非常に綺麗に撮ってある。まるで若尾文子レベルの美しさだった。

 

田宮―叶順子路線もあったのね。

 

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スカパーより