日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

オリオン星座  1948年 大映

監督 田中哲 脚本 田中哲 脚色 金貝省三

出演 水島道太郎 上田吉二郎 風見章子 関千恵子 沢紀子 平井岐代子 

   伊東光一

 

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衛星劇場より

なんと風見章子がヒロイン。彼女のイメージは品の良いおばさんだった。昔の映画でも脇役が多くて主演なのは初めて見たと思う。戦後3年で作られた映画で彼女は当時すでに26,7歳(なんとデコちゃんより年上!)なんだけどとてもそうには見えない。

 

子爵の家の娘、泉だが戦後の財産税に苦しめられ、成金の須藤という男が経済面で助けている。須藤は娘の泉と結婚するつもりで泉の両親もそのつもりでいる。

 

鳥羽五郎(水島道太郎)は戦争から引き揚げてきたが大阪でリュックを盗まれ、質屋に強盗に入り刑務所へ・・・しかし五郎を自分の息子のようだと思っている囚人のちゃら松(上田吉二郎)と共に脱獄。上田はふたりで大阪へ行こうと誘うが、五郎は戦地の友人で亡くなってしまった男性の遺言をその家族に伝えるためにその家を訪ねる。

戦友はは子爵だった泉の兄であった。

 

脱獄犯として追われている五郎は本名を名乗れず、「伊吹五郎」と自分を紹介する。

兄が自分のことを心配していること、女中の千代を好きだったことなどを聞き、喜ぶ泉と両親。しばらく滞在してはどうかとすすめるも、五郎はその言葉に甘えることはできない。やはり自首したほうが良いと悩むのだった。

 

須藤との結婚に乗り気でない泉。女中千代の提案で千代の田舎で牧場をしている兄の家へ行くことにして五郎に一緒に行ってもらう。牧場での生活は泉の心に平安をもたらすのだが、五郎の元へチャラ松がやってくる。

 

途中、泉と結婚したい須藤には須藤の経営する会社の秘書と愛人関係があると思わせる描写があってなかなか面白い。

時代がもっと前ならその役どころは斎藤達雄なんかが思い当たる。

 

戦地で死んでいく泉の兄の言葉が悲しい。そして最後も悲しい。

 

水島道太郎は1912年生まれで当時36才だけれどハンサムだよぇ。チャラ松の上田吉二郎もまだ若かった。(といっても44才)

仮にこの映画が東宝で作られたらやっぱりヒロインは原節子