日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

がんばれ!盤嶽   1960年 東宝

監督 松林宗恵 脚本 岸松雄 新藤兼人 構成 山中貞雄

出演 小林桂樹 志村喬 富士真奈美 団玲子 小泉博 島崎雪子 山茶花究

   安部徹 笠智衆 沢村いき雄

   

山中貞夫が1933年に作った「盤嶽の一生」を再映画化とある。

時代劇だが人情時代劇系。最後はめでたし♪

 

 

栗橋で道場を営む大垣(志村喬)は曲がったことが大嫌いな男だがそれが裏目に出て道弟子が盤嶽(小林桂樹)だけの道場となった。盤嶽は両親がおらず、子供のころからこの道場で育ち剣の達人となった。

ある日、大垣から江戸へでて就職してはどうか言われる。無事武士として生きていく道がつけば自分の娘、浪江(富士真奈美)の婿にすると言う。浪江と夫婦になれると訊いた盤嶽は意気揚々と江戸へ向けて出発する。

ここでびっくりなのは娘役の富士真奈美がとびっきりの美人。最初は気づかなかった。

これには訳がある。私が富士真奈美を初めて見たのが小学生の時の「細腕繫盛記」。

眼鏡の意地悪な小姑を演じた富士真奈美でイメージが強烈過ぎたからだ。

 

江戸へ向かう道中。荷車を押す手伝いをすると、そういう人を目当てに押し賃をもらおうと待っている男たちに怒られて逆に2文取られたり、うなぎを注文するとメニューにある金額の2倍を請求され、店主に問うと、店主(沢村いき雄)はメニューの値段のあとに小さくかいてある「~から」をみせたりする。

さいころから道場以外の世界を知らない人の好い盤嶽はなるほどねぇ・・と感心したりする。

 

盤嶽の幼馴染の嘉五郎(小泉博)は剣より世渡りの上手な男で仕える代官から盤嶽が師匠から譲り受けた名刀、光平を奪うと道中の盤嶽を襲うが崖から落ちた盤嶽を馬子の三次に助けられた。人間のウソにはつくづくいやになったという盤嶽に三次は正直で有名な老人がいると言われ、その人の弟子にしてもらおうと庵を訪ねるもなんとその老人(笠智衆)は大ウソつきであった。

自分のケガの治療費として光平を金貸しに取られた盤額は江戸へでてその刀を取り戻すべく金を作ろうとする。

就職口も決まり働く盤嶽の元へ三次の妹、お時(団玲子)が光平を持って現れる。

彼女は盤嶽のために自ら苦界へ自分を売った金50両で光平を買い戻したのだ。

そんなことも露知らず喜ぶ盤嶽だが、嘉五郎が現れ盤嶽を襲う。彼はいまだに出世を夢見て光平を奪おうとひとり辻占をしながら盤嶽を探していたのだ。

彼の口から浪江の祝言をきいた盤嶽。師匠も貧乏には負けてしまっていた。

慌てて栗橋へ戻る盤嶽だがその日は祝言の日。浪江は盤嶽と自分が結婚するということは知らず、それを知ると大笑いされてしまう。

尊敬していた師匠にがっかりした盤額は光平を師匠につき返し、その足で三次の元へ。

お時が50両のために身を売ったと知った盤嶽が江戸へ戻るとお時がその晩訪ねてくる。

足抜けしたというお時に自分のことをこれだけ思ってくれたお時と一緒に江戸を後にするのだった・・・みたいな。

 

チャンバラシーンもあるけどメインは人の世の話だ。

 

衛星劇場より