日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

駄々っ子社長  1956年 松竹

監督 番匠義晃 脚本 柳井隆雄 原作 船山肇

出演 大木実 藤乃高子 小山明子 加藤大介 関千恵子 明石潮 浦辺粂子

   片山明彦 坂本武 諸角啓二郎

 

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衛星劇場より

大木実好きだなぁ。

好きな俳優  大日方伝 水道道太郎 そして大木実

新しいところでは 加藤剛(え)

 

父から継いだ会社を悪いやつらに騙されて潰してしまった大介(大木実)はある会社の小使いとして働き始める。

出社一日目、いままでのクセが抜けないのか大介は「お早う!」と鷹揚に社員に挨拶して小使い室へ行くと、先輩の小使い、秋山熊吉(坂本武)から小使いが9時に出社してどうする、社員より早くきて掃除を済ませないといけないと注意される。

 

その会社の社長令嬢、冴子(藤乃高子)は社長秘書をしているが社のことを口出しして役員からはおだてられ、それを見た大介の文句を重役に聞かれてたった一日でクビになる。

その会社は大介の叔父の六兵衛(加藤大介)のゴルフ仲間が社長の会社で雇ってもらえたのは六兵衛が裏で頼んでいたからだったので一度はクビになったがまた来るように言われる。そんなことは露知らず、大介は今度こそと一生懸命仕事に精をだす。

 

男性社員に絡まれていた経理課の秘書の阿矢子を助けた大介。

 

ある日、叔父の愛人で芸者をしているぽん太(関千恵子)から、どうも会社の重役たちが夜な夜な料亭に集まりよくない相談をしているらしいと電話がある。

大介の会社では新しい機械導入で自分たちの研究室で自前で作る案とアメリカから機械を買う案があり重役たちは日系二世ジョージから機械を購入したほうが良いと社長令嬢も説得しその方向へことを運ぶようにしている。

自分も悪い社員に会社を食い物にされた過去をもつ大介は正義感から調べようとまず、怪しまれずに重役の動向がわかる阿矢子に頼む。阿矢子ももしそれが成功したら大介も小使いから出世して会社の社員になれるだろうと喜んで協力する。

 

阿矢子の父、良平(多々良純)は定年を控え経理課で働いている。このところ重役に誘われ、夜遅く帰ることが多くなった。彼女は父にそれとなく重役のことを訊くが父は黙って上の人の言うことを聞いていればよいのだと逆に叱られてしまう。

阿矢子の母はもう亡く、阿矢子は中学をでて父のいる会社に就職していた。

 

研究室で新しい機械を開発した桑戸。大介とは馬が合わず、喧嘩するがお互いの素性がわかる。

 

大介は叔父に頼んでジョージの会社を調べてもらうとそんな会社は存在せず、ジョージは詐欺専門の男であったことが判明。重役たちは機械代を上乗せして自分達の懐が潤うように画策していたことがわかるが、そんなことはしらない冴子はジョージに誘われ熱海へ・・・・契約をお願いしますという冴子に交換条件として結婚をもちかけ、襲い掛かるがそこへ大介参上!ジョージの悪事をあばきすんでのところで冴子を救った大介だった。

 

社に戻り、研究室の人間と重役がもめているところへ大介は令嬢、冴子を戻りことの次第をぶちまける。

すんでのところで騙されるところだった会社は助かったが重役一味と共に阿矢子の父もクビになってしまった。阿矢子も会社に居づらくなり休んでしまっている。

 

一方、社長宅へ呼ばれた大介は初めて社長と叔父が知り合いだと知る。そこで社長の娘との結婚を申し込まれる。それは冴子の望みだというが大介は自分には好きな人がいますと断ってしまう。

 

その足で阿矢子の元を訪れるが、阿矢子からは「小使い」だった大介が好きで自分とは今の大介とは身分が合わないと言われてしまう。

 

その窮状を救おうとぽん太が冴子に阿矢子を説得してくれと頼みにくるが冴子はそんなことはしたくない、どちらも苦しめばいいのだと断った・・・のもつかの間、冴子は阿矢子に私は「小使い」である大介を好きになる度胸はなかった、と阿矢子に言うのだ。

 

冴子から電話で阿矢子に会いに行くようにと言われた大介・・・ふたりは多分夫婦になるだろう的な終わり方。

 

ここでビックリしたのは阿矢子の家のそばに土手が広がっていて鉄橋がある。てっきり多摩川かなんかかと思ったらなんと田んぼが広がっていてどこでロケしたのだろう?と思った。

 

芸者のぽん太に呼び出され、お茶したのは多分赤坂の弁慶橋あたりだと思うけれどとにかく赤坂方面にビルはなく、もちろん高速もなく、最初は飯田橋?あたりかとも思ったけれど・・・。

 

阿矢子と大介が映画を見たのは浅草の国際劇場でそこでは同年の封切られた小津安二郎の「早春」がかかっていた演出。