日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

母と子の窓   1957年 松竹

監督 番匠義彰 脚本 猪俣勝人 原作 竹田敏彦

出演 杉田弘子 田村高廣 高橋貞二 中川弘子 渡辺文雄 沢村貞子 吉川満子

   水戸光子 山形勲 二木てるみ 須賀不二男 高橋とよ 谷よしの 太田博之

 

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母子寮に勤める里村圭子(杉田弘子)は同じ職場の指導員、井関壮吉(田村高廣)と仲が良い。

ある日母子寮の一人の男の子が学校で拾ったお金100円を届けずに問題となる。

PTAの有力者であるお金持ちお夫人(高橋とよ)は臨時総会で貧乏人の子供とクラスを分けるように主張するが、小学校の教師をしている宗方繁子(小林トシ子)がはっきりものを言ってそんな提案はチャラになる。圭子と壮吉はすっかり感心して繁子と知り合いとなった。

 

母子寮に住む会社員の瀬川夏江(水戸光子)は上司の塩沢(山形勲)と不倫関係となる。彼の妻は病弱で塩沢は夏江のためにアパートを借りる手はずをする。

夏江は悪いと思いながらも塩沢と愛を誓うのだ。

 

圭子は学生時代、会社経営者の娘の家庭教師をしており、その娘の兄の真木陽一(高橋貞二)に気に入られる。陽一には親が決めた婚約者の由利(中川弘子)がいるが、彼女のブルジョア的な生き方よりも圭子のような女性が好きなのだ。

 

壮吉は繁子の紹介で豊島区の小学校の代用教員となり突然母子寮を辞めた。

壮吉の家には母(吉川満子)がいるが、彼女は近所の圭子の家で、圭子の母(沢村貞子)に息子が変わってしまって困っている。圭子に息子の嫁になってくれれば嬉しいなどという。圭子は壮吉が繁子と出会ってから変化してしまったのを感じているが

自分からはなにもできない。

そんな中、陽一からプロポーズされ、指輪を手渡されるのだ。

 

夏江親子が母子寮を出ることになったが、なんと塩沢の妻が自殺未遂をしてしまい、遺書から夏江と塩沢が不倫しているのが会社に知れることになった。夏江は会社を辞めさせられ、塩沢は北海道へ飛ばされると決まり、夏江は塩沢に仕事はないし、住む場所も失ってどうしたらいいのかと泣くが塩沢ももうどうすることもできない。

その夜、夏江は初めて塩沢と関係をもった渋谷の旅館で服毒自殺してしまう。

 

夏江の一人娘の道子(二木てるみ)は宇佐美にある孤児院へ行くことになった。

圭子が道子を連れていくが圭子が院を去る時の描写が泣かせる。

 

圭子はやはり自分の居場所は母子寮で子供たちのために精一杯頑張ろうと陽一のプロポーズを断る。

今なら、陽一との結婚条件でどうせ有閑マダムになるんだから母子寮にそのまま勤務ってことをのませればいいんじゃない?と思った。

当時は結婚=仕事を辞めて家に入る しかなかった・・ってことか。

 

小学校の先生となった壮吉だが学芸会の劇の指導で学校側からイデオロギーを植え付けていると問題になるが繁子の思想に踊らされていると教頭から注意を受けるも壮吉は自分の考えでしたことだと反論する。しかし壮吉は繁子に対して疑問も感じた。

彼女の「目的達成のためなら手段を選ばない」ことだ。

もう繁子に陶酔している壮吉ではなくなっていた。

 

母子寮の子供たちに迎えられ、一緒に母子寮へ入っていく圭子を遠くから見守る壮吉がいた。

終わり・・・。

 

なんか続編作れるんじゃないかと思った映画。続編は作られなかったけど。

 

プロポーズを断られた陽一も「諦めない」といった会話を妹とするのだ。

 

壮吉は母子寮に戻るのだろうか?そして圭子と壮吉、陽一の行方は????

続編あったら見たかった。

 

ところで大学生役でまだ細い渡辺文雄が登場する。高橋貞二も細かった(笑。

 

スカパーより

 

   杉田弘子という女優さんは美人で昭和30年代松竹を代表する人気女優となったとwikiにあるが1962年に富士車両の息子と結婚し引退してしまったのでやはりこの映画のような結婚感だったんだね。なんと57才(1992年)で没とある。

さらに彼女の死がわかったのがなんと国会質問。彼女の夫は富士車両社長の次男であったがヤクザの組員だったという・・・。ビックリ。そして警察から後に指名手配を受ける。二度ビックリ。

美人てなかなか大変です。