日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

無頼無法の徒 さぶ 1964年 日活

監督 野村孝 脚本 山田信夫 原作 山本周五郎

出演 小林旭 長門裕之 浅丘ルリ子 小林千登勢 浜村純 芦田伸介 下條正巳

   梅野泰靖 小松方正 田中邦衛 高品格

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日活より

いや~、山本周五郎いいですね!

原作が読みたくなってきました。

 

明治の初め、下町の経師屋「芳古堂」に住み込みで働く二人の若者。子供の頃から

栄二(小林旭)は何をやってもどんくさいさぶ(長門裕之)の力となり、兄弟のような友情で結ばれてきた。

年ごろとなったさぶは近くの飲み屋の女、のぶ(小林千登勢)を好きになるが、彼女のために買った簪は恥ずかしくて渡せず、それをさぶに代わって栄二がのぶに渡していたが、のぶは栄二からのプレゼントだと勘違いしており栄二が好きなのだ。

 

仕事がうまい栄二は出入りの商家の娘から気に入られ、結婚を迫られる。彼女は親の勧める結婚を断って栄二と一緒になりたいと父に言うという。栄二は身分が違うからと言うのだが、娘は相手は栄二なら父も許してくれるのだときかないのだ。

そのやり取りをこっそり見ている女中のすえ(浅丘ルリ子)。すえは昔から栄二が好きだったが、このままではお嬢さんに栄二をとられてしまう・・・と心中穏やかではない。

 

そして事件が起こる。

その商家、綿文の家宝がなくなったというのだ。番頭に裸になれといわれる栄二とさぶ。そして道具箱をひっくり返されるとなんと栄二の道具箱から金襴の布が出てきた!

身に覚えのない栄二だが、周りは信用してくれず、芳古堂もクビになり、綿文で喧嘩となって警察へ・・・。

 

石川島送りとなるが、警察にさぶが訪ねてきて、自分が栄二の道具箱に布を入れたと言いに来る。さぶは昔から自分をバカにしていい気になっている栄二が憎かったというのだ。

それを訊いてはっとする栄二。自分は石川島送りなのにさぶは無罪放免・・・

栄二は島についても人が変わったように反抗的になった。

そして島から脱出しようとある晩船を用意するが・・・

 

浅丘ルリ子の表情でなんとなく布を栄二の道具箱に入れた犯人がわかるのだが

それも栄二を愛しているから・・・愛ってコワい。

 

無事、刑期を終えて帰ってきた栄二を迎えるさぶ。彼はえいさ堂という経師屋を栄二と始めようと準備して待っていたのだ。その晩、さぶとすえの三々九度を行うが、すえは口をつけることができな。自分がしたことを隠しておけなくなり、とうとう栄二に打ち明ける。そして出ていくすえだが・・・

 

さぶは栄二に「すえのやったことは、もしすえがやらなかったら自分がやってたかもしれない、自分がやらなかったら綿文がやったかもしれない、今度のことがなかったらお互い、今でも憎みあってた、これから先だって生きるためにはいくらでもあることじゃないのか?」というクライマックスを迎える。

長門裕之小林旭