日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

夫婦百景  1958年 日活

監督 井上梅次 脚本 斎藤良輔 原作 獅子文六

出演 月丘夢路 大坂志郎 浅丘ルリ子 岡田真澄 山根寿子 青山恭二 森川信

   長門裕之 岡野美子 二本柳寛 初井言栄 清水マリ子 安部徹 楠田薫

   柳沢真一 田中筆子 河上信夫 青木富夫

 

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井上梅次監督のコメディ。美人の月丘夢二と浅丘ルリ子が怒ると口から上へ息を吐き、

自分の前髪をその息で揺らす・・・ところがいちいち可笑しい。

 

ナレーションはフランキー堺で出演はしない。

 

月丘夢路は出版社に勤めるキャリアウーマン、夫の大坂志郎は売れない童話作家で家事一切をやっている。朝の出勤風景から始まるこの映画。夫が出勤する妻にハンカチとかタバコとかを渡し当時の夫婦とは真逆な様子。

 

浅丘ルリ子岡田真澄はすねかじりの大学生夫婦。下の大家が間借りしている部屋の家賃、3000円を二人になったのだからと2倍にしろと要求され、それなら出て行くと浅丘の叔父様でもある大坂志郎の家へにリヤカーに積んだ荷物と一緒に押しかけて空いている6畳間へ住むことになる。大坂志郎は妻の月丘夢二に訊いてから・・というが二人は言うことをきかない。

 

月丘夢路の親友、山根寿子は地方都市で電気商?を営む夫、森川信と暮らすが、その店の従業員の青山恭二に恋してしまい、このままではいけないと夫に彼を辞めさせてくれと頼む。しかし、夫はそれならお前が出ていけと言う。青山恭二はその店で唯一テレビを修理できるのだから彼がいなければ商売はやっていけないが、お前がいなくても差しさわりないのだ・・・と言われ、山根は家を出る。列車の中でなんと山根の後を追ってきた青山恭二がおり、彼は山根を慕ってでてきたのだというが山根はとにかく彼と東京駅で別れ、どうしようかと月丘を会社に訪ねたのだ。

とにかく家にいてもらおうと月丘は山根寿子を連れて帰るとそこには浅丘夫妻がいてむくれる月丘。人の好い大坂志郎はイヤと言えなかったのだが・・・。そのことが原因で月丘は姉のいる鵠沼?へ荷物をまとめて出て行く。

 

月丘の姉、初井言栄は夫、二本柳寛と体の弱い息子のために鵠沼へ引っ越してきた。

なんでも子供中心の家庭である。娘役でほぼセリフはないが清水マリ子がでている。

 

海岸で姉一家と月丘が遊んでいると近所の歯科医夫妻、安部徹と楠田薫が通りがかり、麻雀に誘う。鵠沼へ引っ越して通勤時間が長くなった二本柳の代わりに月丘が麻雀へ。

この夫婦はまるで恋人同士のようで娘がいるが二人の時間を大切にしている。

そこへ月丘の部下、柳沢真一が現れる。歯科医とは付き合いがあるのだ。

 

長門裕之は18才で同い年の岡野美子と結婚し、田舎から出てきて仕事を3つ掛け持ちしている青年だ。岡田真澄が夜警のアルバイトで知り合うが彼は生まれてくる子供のために楽しそうに働いている。子供をそんなに早くからつくってどうする?と思っている浅丘・岡田の大学生夫婦はびっくりするばかり。

 

このような話を織り交ぜながら映画が進行していく。

 

山根寿子は青山の情熱に負けて一緒になるがいつも自分が20も年上であることを気にしており、自信がもてない。いつ彼が自分をイヤになってでていったとしてもいいように・・・なんてことを考えている。

 

大坂志郎が山根に料亭の仕事を紹介するが、月丘がいない間に自分も稼ごうとその料亭で伝票の計算をする係になる。毎日夕方になると出かける大坂志郎を怪しんだ浅丘ルリ子は大坂の後をつけると山根と楽しそうに料亭へ入る姿を目撃、いつまでも帰ってこない月丘へ告げ口する。ちょうど月丘は山根から落ち着いたから今度会いましょうと手紙をもらったばかりで怒り心頭で山根の住むアパートへ乗り込む。

 

大坂志郎のほのぼのとした人の好さはあの見た目でうってつけ。

 

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日活より