日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

おヤエの女中大将  1959年 8月 日活

監督 小杉勇 脚本 高橋二三

出演 若水ヤヱ子 手塚茂夫 沢村みつ子 藤村有弘 香月美奈子 飯田蝶子

   森川信 石丘伸吾 弘松三郎 

日活より

このところSNS投資詐欺の記事をネットニュースでよく目にします。これまで高齢者専門でオレオレ詐欺と言われていましたが、今は見事にすそ野を広げ、高齢者のみならず中高年から若者まで幅広い詐欺が横行。しかもその額が数千万から数億!

やたらと不安を煽りまくるマスコミ、政府にも問題があるんじゃないですか?

ヤフーニュースではそういった詐欺に対する記事のコメントで被害者が欲張りだからいけないのだということを書き込む人が多くいます。

もう20年以上前、働いていた事務所に60代くらいのおじさんがやってきた。彼は町のガードレールとか塀とかに掲げてあった町内案内図を作っている広告会社だと言い(今は見かけないが昔はよくそういった地図を兼ねた案内図があった)、新宿区の住所が載った名刺を出した。その地図に事務所の名前を載せて宣伝するのだというおじさんの言葉を信じた所長は、1万2千円を払った。そのおじさんが言うのは事務所の近くのスーパー前にある看板地図に事務所の名前が載るという。私はなんだか突然訪問してきたおじさんの話に半信半疑だったが、所長が大乗り気でしぶしぶ小口の金庫から1万2千円を出し、領収書をもらった。その後、そのスーパーへ確認しに行くと確かに案内地図がある。ところがそれからずいぶん経ってもその案内板が新しくなることもなくそこで騙されたと気づくんですね(笑。もちろん残していった名刺にあった電話番号にかけますが「この電話は現在つかわれておりません・・・」のアナウンスで繋がらない。

所長は士業の人で、今考えるとあの詐欺のおじさん、ものすごい度胸があったなと思うんですけど、金額も金額だし、どこの誰かを探しだすのも大変、警察にも届けなくてもいいよ・・な微妙な1万2千円という被害額。

それでも私はいまだに忘れられないし、あのおじさんへの怒りはまだあります。

1万2千円、しかも私が損したわけじゃないけれどいまだに悔しいので数百、数千、数億騙された人の心中はと思うと被害者が欲張りだなんてことは言えないです。

それも自分のお金ですよ!自分の!

最近は現金のやり取りじゃなく、全てネットで完結なんでとにかく金額が大きい。

怖い世の中になりました。

 

で、おヤエさん。奉公先の次男坊に騙される。

理学博士の柴崎家の次男坊、英二郎(手塚茂夫)は学校の授業を録音し、教師が書いた数学の公式の黒板を写真に写して女中のおヤエに家で清書させる。

英二郎の母は数年前に亡くなり、家には父(藤村有弘)、姉(香月美奈子)、兄(石丘伸吾)、女中のおヤエ(若水ヤエ子)と婆やのお徳(飯田蝶子)と暮らしている。

英二郎は同級生のアコ(沢村みつ子)以下同級生と遊び歩き、おヤエを騙してお金を届けさせたりする不良高校生だ。それでもおヤエは英二郎のことを思い、怒る父との間を取り持とうと必死だ。

そんな英二郎が帰ってこなくなった。数日しておヤエに英二郎から電話があり、命の危険があるから3580円を池袋のバーに持ってきてくれと言われる。

おヤエも父もその手で5000円巻き上げられたことがあるので電話を切る。

しかし・・おヤエはどうにも気になってそのバーへ行くと、英二郎は男(弘松三郎)から裏の倉庫で監禁されていた。

バーへ行く前に警察を呼んで欲しいと頼んでいたおヤエは男と格闘。積んであったビールの箱が崩れ、男も英二郎も下敷きに(笑。

彼はぼったくりバーで男に脅されていたのだがオオカミ少年だったので命の危険という話は皆信じなかったのが天罰だ。

入院先で”おヤエ”と呼んだ息子をみた父は息子のためにおヤエを妻にすると決心する。

え~~~~!!そーきたか!女中から博士の妻へと出世?

かと思いきや、おヤエはその晩荷物を抱えてこっそり柴崎家を後にする。

「英二郎坊ちゃん、今はいいかもしれませんが、もっと時間が経てば女中あがりの母が嫌になるだろう」と言うのだ。

博士も妻というより英二郎の母をしておヤエと結婚を決意したのだ。

 

そこで婆やのアンタは女中の大将だというオチ。

ただ回が進むにつれ、段々面白くなくなっていくような。ここでは歌手?の沢村みつ子の歌のシーンも長く、彼女のプロモーションも兼ねてという作品でした。

 

日活より

 

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