日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

ゆきゆきて神軍   1987年 

監督 原一男  企画 今村昌平 制作 今村プロダクション

 

「ぼくと未帰還兵との2年8ヶ月」を読んだあと、これはまた観ないとなぁ・・と思っていたけれど、過去に3,4回みたけれどその後、なんだか暗い気持ちになって落ち込むので(笑、ここ数年は見直す気にならず、動画にアップされてるのを「後で見る」にしていたのがこの「ゆきゆきて神軍」だ。

で、意を決して(笑 昨日みた。

長いドキュメンタリーだけれど、途中で寝てしまうこともなく、「わぁ~~」とか思いながら最後まで鑑賞。

 

昔の記憶で、このドキュメンタリーでも人肉のことは定かではないと思っていたけれど、なんだかんだであっさり告白しちゃう人もいて「・・・食べてたんだ・・・」がはっきりしていた。

 

「野火」という映画ではなんとなくそれらしきことを表現している場面があった。

「野火」や「ビルマの竪琴」などの映画はただ戦争は悲惨だ、悲しい、可哀そうだけではないのだなぁと思った。

 

このようなドキュメンタリー、今作れるのかはかなり疑問だ。みんな顔出しだし、今からみるとかなりプライバシー侵害なことやってるし、それを撮影してるし。

だからとても貴重だ。

 

奥崎謙三という人は、ちょっとしたことがあると自分はもう出ない、やめる!と言い出したり、「先生」と呼ばれることにこだわったらしい。そして目立ちたがり屋であったというが、原監督が奥崎謙三のそういった部分がなるべく出ないような編集をしたのである意味ちゃんとしたものになった・・・という記述を読んだが、そうかもしれない。

 

そもそもドキュメントといっても「ぼくと未帰還兵」を読んでわかったがなにかしら作る側の思惑はある。それに出演するほうもカメラを意識したような言動や行動をとったりするだろう。

 

鑑賞後、しばらく暗い、ほんとに暗い気持ちになるすごいドキュメンタリー映画です。