日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

早春   1956年 松竹

監督 小津安二郎 脚本 野田高梧 小津安二郎

出演 池部良 淡島千景 浦辺粂子 高橋貞二 岸惠子 中北千枝子

   杉村春子 東野英治郎 笠智衆 加藤大介 三井弘次 田中春男

   山村聰 三宅邦子 中村伸郎 宮口精二 

 

中流の上?家庭を描く小津安二郎からしたらこの映画は中身は不倫問題だし(笑、

蒲田?の借家に住む若夫婦が基本だから「東京暮色」と同じような感じがする。

バックの曲はほのぼのだけど、話題は暗い(笑。

この映画も1950年代の東京を映し出しているので貴重だ。

 

池部良は丸の内の丸ビル内の煉瓦会社のサラリーマン。毎朝蒲田始発の電車で通っている。同じような年?の友達も続々とホームに集まり、会社が引けた後も独身?男性のアパートで飲み会やら麻雀?やらをしている。

 

その仲間のひとり、「きんぎょ」と呼ばれる岸惠子と深い仲になるが池部には妻、淡島千景がいる。6年前に淡島が生んだ子は生後3か月?ほどで死んでしまい、それ以来子供はできない。

淡島の母、浦辺粂子は五反田でおでん屋を営み、大学生になる息子と二人暮らし。

浦辺粂子のあの喋り方が好きなんだよねぇ(笑。思わず見入ってしまう。

 

結局、元のさやに納まるんだけど、岸惠子も普通に送別会に顔をだしあっさり「握手」といって別れるとことかはさすが今村昌平に「何で自らウジムシばかり描く?」といった小津安二郎野田高梧の脚本だと思った(笑。

このふたり、映画ではいったい何回逢瀬を重ねたのかがさっぱりわからない・・。

 

初めて?お好み焼き屋の個室で接吻し、その後大森の旅館で一晩過ごす。

翌朝、池部はなんだか不機嫌で先に宿屋をでる。

ただ、友人たちの噂話では渋谷でふたりで歩いていた・・とかどこどこでも見た・・とか言っている。

たった一回の過ちなのか?それともその後池部が転勤するまで続いていたのか??

はっきりさせないところが今村昌平とは違うと思う。

 

ところで、池部の友人のひとり、高橋貞二はガソリンスタンド?にいる場面がある。

そのガソリンスタンド、「吹けよ春風」でタクシー運転手の三船敏郎がガソリンをいれに立ち寄ったところと同じだが、場所がわからない。

高橋貞二の元へ、これから農林省へ行くという田中春男が来る・・。

だから新橋界隈の日比谷よりだと想像するけれど。

確か虎ノ門あたりのビル街に古くからガソリンスタンドがあったけど、どこだろうか。

 

画像を切り取ってみたら「早春」と「吹けよ春風」のガソリンスタンドの形状がちがっっている。

「早春」のほうは「日本石油田村・・」と読めるから新橋田村町だと思う。

とすると今の西新橋だから検索するとコスモ石油西新橋サービスステーションではないのかと想像。

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早春

が!(笑 日本石油は今エネオスになった・・・。

コスモ石油は元は太陽石油丸善石油だ・・・。ということは新橋4丁目にある

ENEOS Dr.Drive 新橋SS?

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吹けよ春風

同じ日本石油でも建物の形が違う。画像が荒くてよくわからない。