日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

大阪物語  1957年 大映

監督 吉村公三郎 脚本 依田義賢 原作 溝口健二

出演 市川雷蔵 香川京子 中村雁治郎 中村玉緒 浪花千栄子 勝新太郎

   三益愛子 小野道子 林成年 東野英治郎 山茶花究 十朱久雄

   瀧花久子

 

随分長い間、溝口健二監督作品だと思っていたが、クレジットをみて監督は吉村公三郎だと知った。原作が溝口健二で溝口の急逝で吉村公三郎が監督したという。

とにかくおもしろい。特に音楽がうまく挿入されていて相乗効果ばつぐん。

 

年貢米を収められない中村雁治郎一家は大阪へ夜逃げする。大阪で米倉庫?におちている米を拾って10年。とうとう店を構える。

妻の浪花千栄子、息子の林成年(長谷川一夫の息子!)、娘の香川京子は父のケチぶりに呆れているが、従順に従っている。

しばらくすると、大阪へ逃げた当初、つらくあたられた大店がおとりつぶしで家屋敷が売り出されることを知った雁治郎は、その家屋敷を敵討ちのつもりで購入する。

家族はそんな大きな家に住まなくても気楽に生きていきたいと思う。

家屋敷が大きくなると人が集まってくるが、正月の松飾や髪結いももったいないと言い出し、近所からも嫌われるが雁治郎は意に介さない。

 

店の番頭の市川雷蔵は娘の香川京子と恋仲になるが、父は勝手に大店の息子、勝新太郎と結婚させる約束をしてしまう。その大店のおんな主人、三益愛子は、中村雁治郎に負けず劣らず吝嗇で、母、浪花千栄子は娘の行く末を案じで結核?で死んでしまった。

 

どうせ死ぬのだから、薬の栄養のある食べ物もいらないと言い、見殺しにした父に反発する子供達・・・。

 

葬式でもお茶しかださず、これが妻の遺言だとお客をあきれさせる。

 

ある日、息子の林成年は妹の許婚となった勝新太郎に誘われて初めて座敷にあがる。

お相手は中村玉緒

勝新新太郎は遊女の小野道子と相思相愛の仲だが、小野道子が身請けされるお金、300両が工面できずに林成年に頼むのだ。

 

林は、香川の結納金まで三益と取引する父の反発から「この話は壊してやる」と蔵から300両持ち出し、勝に遊女を身請けさせ、ふたりはいなくなる。

勝がいなくなれば妹は市川雷蔵と一緒になれる。

 

蔵からお金が無くなったことを知った中村雁治郎は市川雷蔵を疑い叱責すると帰ってきた息子は自分がやったという。

激高した父が出ていけというと、すんなり出て行ってしまう。

香川京子も店を出された市川雷蔵と出て行って、中村雁治郎はひとりになってしまうが、三益が息子がいなくなり、自分が死んだら誰が自分のお金をついでくれるのだろう・・・死んで墓場にまで持って行かれない・・・というが、それを聞いた中村は蔵に入って鍵をかけ、金庫を抱いて「この金はワシのもんや、誰にも渡さん!」と気が狂ってしまう。

 

とにかく中村雁治郎のケチぶりがおもしろい。おなじくケチな三益愛子との出会いも

建設中の家で木材の切りかすを拾っていると、三益がいて拾った木材を割りばしにして売るという・・・気の合った二人はお茶を飲むが、そのお茶代もお互い払いたくない(笑。

 

勝新太郎はがまだ色白のヤサ男だった頃の映画。