日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

鰯雲  1958年 東宝

監督 成瀬巳喜男 脚本 橋本忍

出演 中村雁治郎 淡島千景 木村功 小林桂樹 司葉子 加藤大介 加賀夏子

   新珠三千代 織田政雄 水野久美 太刀川寛 飯田蝶子 山内賢 

   杉村春子 見明凡太郎 長岡輝子

 

30年くらい前にみたことがあって、もう一度みたいと思っていた。初めてみたときは成瀬巳喜男のことは知らなかったし、木村功淡島千景の不倫のことしか記憶がなかった。厚木の農家の淡島がバスに乗って木村功に会うときの淡島の様子と空の鰯雲の映像くらい覚えていたが、びっくりだったのがこの映画、カラーでした。

私の中では白黒映画だとずーっと思っていたのでたまたまこの映画を昨日みたとき、(なぜか途中からの映像から始まるので・・・)最初は「鰯雲」という題名だけれど間違っているのだと思ってみていたら・・・新珠三千代木村功の登場でやはり「鰯雲」なのだと気づいた(笑。

 

見終わって1958年公開にまたビックリ(笑。カラーだったので・・。

 

厚木の農家一族とそれをとりまく人達の物語。

農村の新しい生活様式という社会運動のなかで古いしきたりや本家や分家、人にどう思われるかをいつも気にしながら生きる本家の主人、中村雁治郎。同じ農家に嫁に行った妹の淡島千景は女学校をでていて新聞に投書したりする活動的で知的な女性。

夫に死なれ、男の子と義母 飯田蝶子と暮らしているが、飯田蝶子は嫁に行った娘からたまに送られてくるこずかいを有難がるが使おうとせず、嫁に全てださせる・・・。

 

木村と淡島の不倫がメインだと思っていた映画だが、それより中村雁治郎一家がメインだった。橋本忍成瀬巳喜男だから長い映画だけれどまったく飽きさせない。

そして出演者が豪華だ!

なんと淡島千景の子供役が山内賢

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山内賢

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厚木駅前?

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厚木駅?からボートに乗りに行く

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商店街

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分家の娘 水野久美

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多摩川?べりで

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美しすぎる(笑 司葉子

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遠くに小田急ロマンスカー?)が走る

結局、本家の息子達は親の思いどおりにはならず、木村功は東京勤務となる。

めでたし、めでたし・・・にならず、かといって不幸のどん底でもない、そんな映画で従来の成瀬映画のように結末がない・・ところが良い。