日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

猫と庄造とふたりの女  1956年 東宝

監督 豊田四郎 脚本 八柱利雄 原作 谷崎潤一郎

出演 森繁久彌 山田五十鈴 香川京子 浪花千栄子 山茶花究 三好栄子

   横山エンタツ 都家カツ江

 

 ずーっと見たかった映画!脚本も八柱利雄だし・・・

でも期待からすると裏切られた出来(笑。

 

荒物屋の主人、森繁は飼い猫のリリーが大好きな中年男。妻の山田五十鈴は森繁の母、浪花千栄子犬猿の仲で、4年経っても子供ができないことで大喧嘩し、荷物をまとめて出て行ってしまう。その時のオート三輪がすごい。

 

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途中でパンクする車。

山田五十鈴は妹の家へ下宿することになるが、妹の夫、横山エンタツはおもしろくない。エンタツの変なギャグがなくて良かった(笑。

 

浪花は、兄の娘で不良の香川京子と森繁を一緒にさせるので山田が出て行ったことでニコニコだ。森繁も香川とは内緒?で付き合っていたので話は早かった。

 

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香川京子の水着姿

ところが香川は家のことは何もしない。だが、持参金付き、家の借金棒引きだったので浪花千栄子は何も言わない。

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煙草を吸う香川京子は初めて見たような・・

山田五十鈴は、猫のリリーを引き取れば、森繁が迎えにきてくれると画策する。

 

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山田五十鈴香川京子

猫会いたさに結局森繁が山田の元を訪ねるが、山田は猫しか眼中にない森繁に怒りを感じてなんと猫を2階から投げてしまう!!

たまに猫を蹴飛ばしたりする場面のある昔の映画があるが、猫を投げるのは初めて(笑。この映画に出てくるリリーという猫、役者にどうされようが、黙ってなされるがまま。逃げようとはしないのがすごい。投げた猫は本物ではない・・ようなネットの記事もあったが・・・真相は謎。

 

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抱かれていやがるそぶりは一切みせない凄い芸達者な猫

そこへ香川京子が押しかけてきて、山田と壮絶なつかみ合いをしている間に猫を追って逃げ出す森繁。なんとリリーはいつもの海岸にいた。

雨の中、猫を抱いて「帰る家がなくなった・・・」という森繁。この場面ではずぶ濡れの猫をやはりずぶ濡れの森繁が抱くのだが、りりーちゃん、微動だにせず。

 

香川京子の不良な若い娘の演技が過剰すぎるし、そもそもしがない荒物屋の中年?男の森繁にふたり(山田、香川)がそこまで夢中になるのは無理・・な気もする。

母、浪花千栄子の思い通りのマザコン男だよ(笑。

 

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浪花千栄子に口答えして喧嘩する香川の声を聞いて逃げ出すマザコン