日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

燃える肉体  1957年 日活

監督 小杉勇 脚本 陶山鉄

出演 水島道太郎 筑波久子 宍戸錠 利根はる恵 初井言栄 清水将夫 芝あをみ

 

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肉体派女優と呼ばれた筑波久子。いちど肉体派とされるとそういった映画しかお呼びがかからない。確かに彼女の容姿は男好きするような感じだから仕方がないのかもしれない。目をみはる美人・・・でもなく、可愛いというのでもなく、結局主役をつかむには肉体で売るしかなかったのか?ただ、肉体といっても今から比べるとなんてこともない。時代が時代だったら彼女は脱がされていただろう。

 

戦争で父を亡くし、母も空襲で死んだ筑波久子は孤児院で育った。目立つので悪い男、宍戸錠から乱暴され、逃げるように東京へ出て工場で働くが、社会にでても孤児院育ちだと馬鹿にされたり、軽蔑されたりする。

御徒町で荷物を見ているだけでいいからとアルバイトに誘われた彼女だが、その荷物というのは女万引き団が万引きしてきた荷物番で、それを知らなかった彼女は万引き女、初井言栄を追いかけてきた刑事に捕まり留置所へ。

 

取り調べを受け、温情的な刑事、山田禅二の計らいで留置所をでることになった筑波を新聞記者が写真に撮り新聞に載せてしまう。

それを見て警察署にやってきたのが昔筑波のいた孤児院で陶芸を教えていた水島道太郎だ。彼は川筋で親のいない子供達、そして陶芸の弟子と暮らしている。筑波を迎えて一緒に暮らすことになる。

 

ところが筑波の居場所を突き止めた宍戸錠がまとわりつく。困った彼女は誰にも相談できず・・・思い余って夜分水島の部屋を訪ね思わず抱きついてしまうのだ。拒否された彼女はその足で水島の弟子の男性のところへ行くのだが、水島にみつかり、いたたまれなくなって自分からいなくなる。

同じ孤児の女の子が心配するのだが、水島は探そうとしない・・・。

 

この映画錦糸町?あたりが出てきたり、貴重な映像多し。ただはっきりどの辺とはわからない。

 

宍戸錠の後ろの橋は?どこでしょうか。

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筑波久子と水島道太郎

職を求めて歩く筑波だが、職安では保証人がいないので水商売を勧められたりする。

そんなのあるの?

やっと見つけたのが料理屋の女中だったが、周りの男性からモテモテでそれが原因で女将から追い出される。

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この⛩をくぐった先に料理屋があるのだ。

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風呂屋へ行った帰りの風景

ロケ地として日活のサイトには新宿(四谷?)とあるが・・・

 

追い出された彼女はその料理屋の客で踊り子にバレエを教えている男を頼り、クラブ?で踊ることになる。それが肉体派?と言われる所以なのか。

初日、客の大歓声だったが同じ踊り子たちには嫉妬され、楽屋で殴り合いの喧嘩になる。そのきっかけが踊りのこひとりである芝あをみだが、彼女、日活にチョイ役でよくでている。そこへ居場所をかぎつけた宍戸錠が現れ、彼のアパートへ。宍戸は下賤に彼女を売ろうとしているのだ。

もう破れかぶれとなった彼女は宍戸にまた体を許そうとするが、窓の外にかかっていた女の下着をみて宍戸を拒否。そして宍戸を刺してしまう。

 

回りの男達がほっておかずに自分が悪いわけではないのだが女に嫉妬されドンドン不幸になる筑波久子の演技はなかなかだった。

 

彼女は死を決意して冬山へ行くのだ。

水島は彼女を追って山に入る。そこには気を失っている筑波が。

 

結構泣かせる。

 

東宝とはやはり違います。で、監督の小杉勇って俳優の小杉勇なんですね。

ちなみにこれ、日活肉体シリーズ第五編です。