日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

しあわせはどこに  1956年 日活

監督 西河克己 脚本 池田一朗 西河克己

出演 芦川いづみ 葉山良二 山根寿子 二本柳寛 宍戸錠 北林谷栄 殿山泰司

   田中筆子 堀恭子

 

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両親のいないいづみちゃんは横浜の伯母の家にやっかいになっている。就職試験を受けて不合格になるのはやはり自分に親がないのかとある会社の面接のあと廊下で会った紳士に聞く。その紳士はその会社の専務の取引先の男性、二本柳寛だが、いづみちゃんの訴え(とまでいかないが)を訊いて、専務の清水将夫に彼女を君の秘書にするように頼むのだった。

 

専務秘書となったいづみちゃんの前にふたりの男性が現れる。営業の宍戸錠と設計の葉山良二だ。宍戸錠はいづみちゃんを狙って言葉巧みに自分のアパートへ誘うが、そこへ遅れてやってきた葉山良二が現れる。

 

宍戸錠がまだほっぺたをふくらませていない時の映画(笑。

 

家では金にだらしのない伯父がいづみちゃんをどこかへ売ろうと企んでいる。伯母の北林谷栄はある日、トラックに轢かれて死んでしまう(この設定多し)。

伯母の葬儀のあと、伯父から乱暴されそうになり、いづみちゃんは貸間を探す。それを知った葉山良二が自分の下宿をいづみちゃんに提供し、自分は会社の現場で寝泊まりすることに。

 

いづみちゃんを訪ねて謎の女性が現れるが、それはいづみちゃんの実母、山根寿子だった。彼女は疎開する最中に男に乱暴されそうになり、その男を殺して刑務所へ入っていたのだ。

そのことを知らないいづみちゃんだったが、伯父の口からそれとなくわかってしまう。

 

専務の先輩秘書の女性からは嫉妬され、ある日専務から預かった大切な設計図?を隠されてしまう。彼女はそれを宍戸錠に渡すのだ。宍戸はそれを渡すといづみちゃんを自分のアパートへ誘うが、そこへ現れたのは改心した先輩秘書で、全てをいづみちゃんに言ったという。お互い会社をクビになるのだと言い捨てて宍戸の部屋を後にする。

 

いづみちゃんは居所を伯父に知られ、葉山良二が病気だという嘘で拉致される。

そこへいづみちゃんの母を見つけた葉山が帰ってきて慌ててその後を追う。

いづみちゃんが拉致された時、たまたま通りがかった紳士、二本柳寛も車で追う。

 

伯父の家のそばの倉庫にいづみちゃんは拉致されていた。そこへ葉山良二が助けに入る。

母親の山根寿子は殺人犯の自分がいづみちゃんの結婚のじゃまをしてはいけないと思っているが、葉山はこれから葉山の実家へ帰りいづみちゃんとの結婚を報告するから一緒に住みましょうというのだ。

 

いづみちゃんに親切な紳士の二本柳寛は実は山根寿子の若い頃の恋人だったが、結ばれることなく山根はいづみちゃんの父と一緒になった経由がある。

 

いづれにしろめでたしなのだが、なぜかいつも参照する映画.comではあらすじがちょっと違う。二本柳寛がやはりいづみちゃんを狙う男性なのだ。ただそっちのほうが流れ的には普通だと思うけれど、清純派いづみちゃんだから伯父、会社の同僚の危ない男性ふたりだけの脚本にしたのかもしれない(笑。

 

この当時の葉山良二はまだ細く、このような清潔な役はぴったりだった。

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芦川いづみと葉山良二