日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

運命の暦  1948年 大映

監督 島耕二 脚本 舟橋和郎 原作 金貝省三

出演 相馬千恵子 小林桂樹 三條美紀 三國秀夫 岡村文子

 

戦後3年の映画。この当時やたらと上流階級の家庭の物語が多い気がする。まぁそういう映画を見れば一時でも自分の暮らしは忘れられるけど。

 

プリマンドナの梢は舞台で倒れ、結果、脳腫瘍があることが判明。医師、園部は梢の手術をするが途中で中断しなければならかった。梢には手術は成功と告げる。そして園部は梢を愛して結婚を申し込むのだ。梢一家は両親はもう亡くなり、後見人の叔父の元、妹 薫と弟、哲夫と暮らしている。そして結婚して夫となった園部も加わり梢は幸せだった。しかし梢以外の人間は梢の身体を気遣い、医師である夫は刺激物をとらせないようになどみんなで気を遣う。事情を知らない梢はとても不思議に思うのだ。

 

夫は梢の手術を成功させようと動物実験を繰り返すがうまくいかない。梢の生きられる時間は迫ってくる・・・。

たびたび眩暈をおこしたり、視神経からか明るいところでも暗く感じたりする梢。

ある日、妹の結婚話であちらからの話だったのが「病気もちのお姉さんがいる人との縁談は・・・」ということを言われたと聞き、確かめるとなんでも自分の病気が治っていないからだと言われる・・・。

 

結局梢は夫の胸の中で妹に見守られて死んでしまうのだ・っていうつまんない話(すいません)なのだが、なんと別なバージョンの終わり方も用意され(え?)

それは学校の野球の試合中の弟の元に電報が来る。梢の手術が成功したという嬉しいニュース。それを読んだ弟は勇んでバッターボックスに入る・・・みたいな。

 

特筆すべきは 医師役で若くて細い、しかもエリート役の小林桂樹がみられること。

小林桂樹というと社長シリーズなんで、徳大寺伸がやりそうな役をやっていたのは発見だった。24才の彼が見れます。

戦後3年だからまだ映画もそんなにお金がかかっているとも思えない。

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衛星劇場より