日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

血まみれの決闘  1957年 東映

監督 小石栄一 脚本 瀬川昌治 

出演 高倉健 岡田英次 中村雅子 加藤嘉 花沢徳衛 木村功 須藤健

   佐々木孝丸 浦里はるみ

 

東映チャンネルより

まだ高倉健がヤクザ映画に出てない頃?というか東映もヤクザ映画を作ってない頃?の映画。スポ根とも違い、男の友情が最後の最後でわかる・・・ような物語。

 

牛島(高倉健)と早田(岡田英次)はトラック運転手をしており、真面目で無口な牛島となんとかして金を稼ぎたい早田・・の性格が違うふたり。

 

いつも行く食堂で働くみち子(中村雅子)が好きな牛島だが、それを口にできない。

 

ある日、早田に誘われボクシングジムへ行く牛島。早田はそのクラブの専属ボクサーになりたくてオーナーの田村(加藤嘉)に頼み込むが断られてしまう。

早田を待っている間、牛島はそのクラブで唯一試合に出会られるボクサーが酔っ払い、

殴られるが、殴り返してノックアウト。それをみたオーナーの田村は牛島を試合にでてもらう。嫌がる牛島を早田に説得してもらい一試合だけという約束でリングにあがる。

ボクシングなどやったことがなかった牛島だが、早田の言う通りの動きで見事勝負に勝った。

そこへ牛島に目をつけた西崎(佐々木孝丸)がやってくるが、勝手に早田が交渉に乗り出す。マネージャーにしてくれという早田だが西島は断ると田村のジムと契約して自分はマネージャーに収まるつもりだったが、牛島は一試合だけの約束だと断る。

ところが、牛島の運んだ美術品・・・荷造りがわるくて壊れてしまい、10万円を請求されるかもしれない事態となる。(この荷造りは早田がしているから彼の策略かもしれない)ここぞとばかり契約金の20万円が入ればそんなお金は払えるという早田・・・

牛島はしぶしぶ承諾。

その後の牛島は連勝し続け、新聞も連日取り上げる。

 

みち子に話があるとデパートの屋上で告白しようとした牛島だが、なんとみち子に縁談が持ち上がり、町長の息子だとかで翌日田舎へ帰るときいた牛島・・・結局みち子には何も言えない。

 

次の契約はせずに田舎に帰って果樹園をやりたいと思っている牛島だが、早田は勝手に

契約をむずび、牛島には引退の祝賀会だと言っている。

 

牛島の活躍で早田はドンドンいい気になっており、口答えした牛島に誰のおかげだと殴る場面もある。一方、試合のチケットをダフ屋に売って自分の懐も肥やす早田であった。オーナーの田村から注意された早田はそれが気に入らないとオーナーの愛人をつれて熱海へしけ込む・・・牛島が西崎のクラブへ移籍したことを新聞で知った早田は急遽東京へ戻ると早田がダフ屋にチケットを横流しした件が明るみに出て田村のジムは試合には出場できなくなり、牛島はそのために移籍したという。全て早田の責任だが、早田は田村に謝るどころか唾をはくように出ていく。

 

西崎のクラブから世界チャンピオンとの対決に臨む牛島についていったのは田村のところで長年トレーナーをしていた神田(花沢徳衛)だ。彼のドモリの演出がよい。

 

しかし、牛島がまっすぐ歩けないことに不信を感じた神田が牛島のレントゲンで視神経が侵されていることに気づく。オーナーに言っても秘密のママ、そして牛島本人にも知らされず、牛島は試合を迎える。

 

試合会場には予想屋に身を落とした早田がいた。神田は試合に負けるし、相手のパンチで死んでしまうのではないかと飲んだくれ、そのことを知った早田は牛島の試合をやめさせようと控室に行くが、誰にも相手にされず牛島にもさげすまれる。

 

リングにあがった牛島だが、やはり目がよく見えず相手に打ちのめされる。

その試合には嫁に行ったはずのみち子も来ていた。彼女は結婚を断ったのだった。

 

早田は、ダフ屋からも恨みをかっていたので会場内を追い掛け回されるがやっとの思いで新聞記者のひとり、(木村功)に牛島のことを伝える。

牛島は結局レフリーの指示で負け、救急車で運ばれるがそのわきにはみち子がいた。

 

一方、喧嘩で刺された早田はなぜか映画ドットコムでは死ぬようなことが書かれているが、木村功の新聞記者に発見され抱きかかえられて・・・で終わる。

 

途中まで悪者だった早田だが、牛島の果樹園の資金を貯金していたことなどがわかると

早田もなかなかいい人じゃん・・・と思った映画(笑。

2時間という長い物語だったが飽きることがなかった。少なくとも高倉健金田一耕助より全然よい(笑。

このみち子役の中村雅子という女優さんは加藤嘉の4度目(最後)の奥さんになった人で22才も加藤嘉より若い女性だ。加藤嘉とは「米」で親子役だったというが尊敬しちゃったんだろうと思うよ。

 

高倉健もその後紆余曲折があり、33才年下の女性(元女優)を養女としていた。

高倉健の死後、その養女に対しては結構色々言われてたようだが、彼女は「今朝の秋」というドラマで杉浦直樹の娘役としてでている。