日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

さそり   1967年 松竹

監督 水川淳三 脚本 野村芳太郎 森崎東

出演 佐藤友美 石立鉄男 伊藤雄之助 加賀まりこ 加藤武 露口茂 菅井きん

   牟田悌三 大泉晃 桜井センリ 

 

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松竹ヌーベルバーグ・・・・

これ、60年代後半になって松竹が作った体のいいポルノ映画だと私は思う。

違うのは出演者が名の知れた人たちだってことだ。

日活の中平康の二番煎じみたいだし、映像は洒落てもいない。佐藤友美がハチャメチャぶりが唯一のヌーベルバーグと言えるかもしれないが誰と関係をもっても平気という頭が弱い設定みたいだから、ま、男性の夢みたいな女性。都合よすぎるって(笑。

 

東京郊外でスーパーを経営する伊藤雄之助は取引先主催の会合で名古屋へ。世の男性が皆そうであったように?伊藤雄之助は名古屋の夜を有意義に過ごそうとエロ映画(笑 を見せるうらぶれたアパートへ。

そこで見かけた娘の佐藤友美と一晩過ごす。

翌日、みやげを買おうと名古屋の地下の店で売り子として働いている佐藤友美と会ってビックリする伊藤雄之助だった。

 

東京ではスーパーの社長としてPTAの会長もしている伊藤雄之助。嫁入り間近の娘と妻の菅井きんから「とーちゃん」と言われている。

 

そこへ佐藤友美が名古屋からやってくる。男から逃げてきたという娘にラーメンを奢りちゃんとして生活をおくれという伊藤雄之助だが、佐藤友美を2号として囲うことになる。

 

伊藤からもらったお金で買い物に精をだす佐藤友美。いくら社長だからと言ってすでに50万円も使った伊藤雄之助はもう少し節約しろというが、「パパ」と甘えられると弱い。

ある日、名古屋のエロ映画の客引きをやっていた佐藤友美とは同郷の石立鉄男がアパートへやってくる。石立からも好きだったと言われ関係をもつアプレな佐藤友美だが

ある晩、伊藤雄之助をスーパーへ訪ねたふたりは「恐喝だぞ」と警察へ連絡しようとした伊藤雄之助を殺してしまう。首吊りの自殺に見せかけようと小細工をした二人は

そのまま姿を消す。

 

一方、警察は殺人事件として事件を捜査している。

 

パチンコ屋で遊んでいた佐藤友美に声をかけた男の牟田悌三。佐藤友美は刑事ではないかとびくびくするが、彼は名古屋時代に佐藤友美と2度ほど遊んだことのある男だった。その男と温泉マークで関係をもったことを石立鉄男に言うのは彼女は頭が弱いからだ・・・というのが石立鉄男(だったかな)のセリフでわかる。

お金のなくなった二人は石立鉄男がぽん引きとなり、駅で客を見つける。

暗がりに立つ佐藤友美をみて「これは上物だ」と旅館へ行った男はなんと刑事であった。これが加藤武

警察でもぽん引きの石立鉄男のことはしゃべらず、起訴されずに放免となった佐藤友美は安アパートに帰ると石立鉄男はいなくなっていた・・・そこで登場するのが同じアパートに住む加賀まりこ・・・って「月曜日のユカ」か(笑。

 

ところが石立鉄男は結局アパートに戻り、ふたりは伊藤雄之助に借りてもらっていたアパートへ行く。家具や家電を売ってアパートの敷金を返してもらえば25万にはなると喜んでいると、殺人事件で捜査していた警察はすでにそのアパートを捜索していた。

二人が現れたことを管理人の通報でかけつけた警察に二人は逮捕され取り調べを受ける。

口を割らない佐藤友美だが石立鉄男は自供しだす。

当初、自分が電話のコードで首をしめたと供述していた石立だが、自白はウソで佐藤友美が殺したと供述を変える。その供述の録音を聞かされた佐藤友美・・・

署内で石立と会った佐藤友美は突然石立の目をめがけてとがったペンを振り下ろすのだった・・・

 

佐藤友美のデビュー作である。19才という役。長身ですらっとしたモデル体型の彼女が選ばれたのはいいが、最初、脱いでもらうというので俳優座の人と出演を断りに行ったそうだ。しかし、脚本を読んで本人も気に入り役を引き受けたというが・・・

 

佐藤友美が脱ぐのはスリップまで。あるいはブラジャーとパンティ姿だからおっぱいポロリはないんだけど、映画冒頭の名古屋のクラブで踊る踊り子のおっぱいユスリ画面はある(笑。

 

ただ19才にしてはちょっと老けてるよね感は否めず。

 

クールビューティーな女優さんだがデビューが遅すぎたような気がする。すでに映画界は斜陽で女の裸とかエロで客を集めることが始まってたし、テレビでもパンチラ系ものも作られてたんじゃないかな。

名古屋で佐藤友美と2度遊んだという男役の牟田悌三って懐かしい顔だった。

 

 

ラーメンが70円という時代だ。タクシーが初乗り100円とあった。

スカパーより