日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

続 新・悪名  1962年 大映

監督 田中徳三 脚本 依田義賢

出演 勝新太郎 田宮二郎 近藤美恵子 芥川一郎 水谷良枝 阿井美千子

   ミヤコ蝶々 赤城まり 遠藤辰雄 永田靖 

 

総天然色という説明が古さを感じる 笑

 

なぜか混乱する映画タイトル。

第三作の 新・悪名の 続編。一瞬、なに??みたいなタイトルだ(笑。

 

普通、一作目がやはり一番面白いんだけど、4作見た中で一番面白いと思ったのがこの第4作だった。子役の女の子(赤城まり)が出てくるんで、どうも子役がメインなのはねぇ・・・と思っていたけどなかなかグッドな脚本。

ただ、一応、続きものだからちょっとチグハグな部分もあるが一作目から見ていないと

登場人物の背景がわからないので一作目から見ることが重要。

一作目から次はどーなる?どーなる?でその気持ちがマックスになってみたのが4作目だからなおさら面白かったのかもしれない。

 

日本映画専門チャンネルより

 

闇市をがなくなり、朝吉(勝新太郎)は故郷の河内に帰ったが、農家の三男坊がもらえるような土地もなく、もう一度大阪へでる。この回ではっきりしたのが朝吉の故郷は八尾だということだが、土地勘がないのでどの辺なのかよくわからない。ただ八尾という地名はきいたことがある。

 

そこで両親を戦争で亡くし、靴磨きをしている戦災孤児のひろみ(赤城まり)を拾い、

面倒をみることになる。

宿泊している宿屋でおかまのおぎん(芥川一郎)にばったり再会。おぎんは女剣劇の旅役者となり全国をまわっているという。興行をうつこの土地で隣の劇場主が興行してはいけないと突然言われ、困っているというおぎんは朝吉に女剣劇の座長、五月淳子(近藤美恵子)と一座のブローカーをしているという男を引き合わせ協力を頼む。

 

困っている人を見捨てておけない朝吉は劇場主に話をつけにいくとその男の用心棒をしている清次(田宮二郎)に再会し、その後話をつけて興行は大成功。

しかし、ブローカーの男は劇場主に団員の出演費、4万5千円をもらいそのままドロン。興行で稼いだ金は全てなくなり、それどころか劇場主には2万円の借金が残ることになった。

 

朝吉は自分の身体をカタに4万五千円を劇場主からさらに借り、次の街へ去っていく座長へ渡す。子役として舞台にでたひろみを気に入った座長の淳子はひろみに一緒に来ないかと誘うと、ひろみは実は母親が神戸にいて会いたいからいかないという。

ビックリした朝吉は怒りながらもひろみの母を探しに神戸へ行き、その後因島の女親分(浪花千栄子)から金を借りて劇場主へ金を返すべく大阪を出発。

 

舞台公演の最中、清次はひろみの歌がうまいことに気づき、のど自慢へでろと、歌のレッスンをする。ここで田宮二郎がセンチメンタルジャーニーを教えるが彼自身がギターを弾いて歌う。なかなかうまかった♪♪

 

ひろみに服を買うために、朝吉はお照(藤原礼子)の元を訪ね、その後、お照の家?へ居候することになる。

 

神戸ののど自慢で見事優勝したひろみはたまたまのど自慢に参加した母(ミヤコ蝶々)と出会う。優勝者を巡ってはひと騒動あり、清次はチンピラに足を撃たれ病院へ担ぎ込まれる。

劇団の金を前借し、そのままドロンしたブローカーの男がなんとのど自慢会場でやはりブローカーのようなことをしており、それに気づいたひろみは入院している清次に連絡する。

ひろみは因島へ歌いに行くことが決まり、一緒にいけない清次に代わって再会した母と共に逃げたブローカーの男の行動を監視しながら因島にまだいるはずの朝吉へ伝えようとする。なんと泊まった旅館がおしげの渡海屋だったがなかなか朝吉のことが聞けなくて、ここで手に汗握った(笑。

 

一方、一足先に因島へ劇場主の男と渡った朝吉は港で渡海屋のおしげ(阿井美千子)と会い、女親分に会いに来たというとおしげは親分も喜ぶでしょうと連れていかれたのがなんと墓地・・・。女親分は亡くなっていたのだ!劇場主はそれをみて死んだ人間から金は借りられないじゃないかと激怒。その足でふたりはシルクハットの親分(永田靖)の仕切る女郎屋へ行く。シルクハットの親分は劇場主とも旧知の仲で、頼まれて逃げたブローカーを泊めていた。

シルクハットの親分は、後妻になった琴糸にお金を用立ててもらえというが朝吉はそんなことは頼めないと断るが、親分は琴糸に連絡し、金をもった琴糸が現れる。

琴糸の夫はやはり兵隊にとられ、戦死しており、彼女は亡き女親分に飲み屋をだしてもらっていた。

 

琴糸は今の自分があるのは朝吉に助けてもらったからだと金を渡す。その金を劇場主が奪うようにしてとり、事なきを得た朝吉だが、ひろみからの連絡で逃げたブローカーの男が因島にいると聞き、シルクハットの親分に改めて男の行方を聞きに行く。

親分はその男を朝吉の指定する浜へ行かせると約束し、その男と対決する朝吉。

ところがその男は劇場主に無理やり判をおさせられ、自分は一万円だけもらったと自供!

 

大阪へ帰った朝吉は清次と共に劇場主をいためつけ、だまして手にした金を返させる。

 

そのまま郵便局から因島の琴糸へ「金は返す。あとはひとりで生きていってくれ」と電報を添え・・・

 

とにかくずっと飽きさせない展開。

思わずぐっとしたのは旅役者との別れ。これがあっさりな演出なんだけど逆にもうこの二人(朝吉と五月淳子)は会うことはないのだなぁと思ったら前頭葉がゆるんだ(笑。もっとオーバーな観客を泣かせようとする演出だったら白けたと思う。

この朝吉と淳子は関係したのか??も謎めいていてよい。

 

琴糸との再会でもう夫の戦死した琴糸に暗にもう会わないという電報をうつ朝吉ってかっこよくないか?え!普通なら夫のいない琴糸、琴糸も朝吉が好きなのをわかっていてこの行動。

 

そーいえば女の子のひろみとその母(ミヤコ蝶々)がどうなったのか謎だが、そんなことも気にならず、忘れていたくらいおもしろかった♪

 

おぎんというおかまを演じた芥川一郎という俳優さん、昔よくみたな・・。

さすがにもう生きていないよねとwikiで調べたら1927年生まれで2000年に亡くなっていた73歳。wikiでもおかまのおぎん役ははまり役と書いてあった(笑。

 

この映画のDVDがいまだに販売されているのも納得な映画だ。

 

アマゾンより