監督 大槻義一 脚本 木下恵介
出演 佐野周二 乙羽信子 北林谷栄 倍賞千恵子 三上真一郎 笠智衆
全ての人に幸福になって欲しいと言った木下恵介が監督デビューの大槻義一のために脚本を書いたという映画。
普通の人の生活を描いた一品。他人を許し受け入れることが幸せに通じる♪♪ってことが言いたかったのかなぁ。
乙丸音也(佐野周二)は妻の文枝(乙羽信子)と苦労の末、新橋にレストランを経営するまでになった。
そこへ音也が幼いころ、家を出た母のふく(北林谷栄)がやってくる。ふくは再婚し、そこでも娘をもったが再婚相手には恵まれず、娘婿からは土地もとられ決して幸福とはいえない人生を歩んできた。
突然現れた夫の母のことを喜んで迎えることはできない文枝だ。
母親が現れた日は、乙丸家にお手伝いさんが来る日でもあった。
文子(倍賞千恵子)は母子家庭で乙丸家へお手伝いとして働くことになった。
文子はその家の主婦である文枝と似た名前なので「春子」と呼ばれることになった(昔って結構そういことがあったようだ)。
春子とふくは乙丸家の下働きをこなすが、文枝は近所の人たちから義母をこき使っていると言われるからとふくが買い物に行くのを好まない。ふくをお茶に誘ってもふくは決して文枝とお茶を飲まないのも文枝は気分が悪いのだ。
向い家のおじいさん(笠智衆)は色々と文句を言ったりする頑固者。ふくはおじいさんとケンカをして押し倒してしまう。文枝はそのことを新橋のレストランにいる夫に言いに行くが、夫は笑うだけで全く意に介さない。文枝の不満はもう爆発しそうだ。
運転手の守(三上真一郎)とお手伝いの春子が仲良くなりそんなことも気がかりな文枝。その上、守は向いのおじいさんを突き飛ばしたという。また新橋のレストランで夫に進言しにいくと運転手の守がきた。音也は守に預かった娘の春子とのことを注意するも守は人に指図されるなんてとまさかの逆切れで運転手を辞めることになる。
春子の母(荒木道子)は春子の就職が決まると生まれ故郷の鳥取で旅館の女中になった。鳥取では「流し雛」という風習があり、町で見かけたからと春子と奥さんの文枝にと流し雛を送ってきた。その日はちょうどお雛様の3月3日。
一方、ふくもみんなに迷惑をかけたからと荷物をまとめていた。音也はふくとうまくやってくれと文枝に言うが、文枝は黙ったままだ。
ふくと一緒に家をでた音也は熱海へ行くことにする。車中、ふくは自分も悪かったと泣きだすのだった。
文枝は翌朝 ふくとまた一緒に暮らす決心をして熱海の旅館へ電話をかけ家に帰ってくるようにという。そして春子とともに川へ行き、全てを水に流そうとそのお雛様を流すのだ。
木下恵介の脚本だなぁと思う物語。清く正しく美しくの松山善三の師匠なだけある♪