日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

青春の気流 1942年 東宝

監督 伏水 修  原作 南川 潤

脚色 黒澤 明  撮影 伊藤武

出演 原 節子 山根寿子 大日方 傳 藤田 進 中村 彰 

   新藤英太郎 北沢 彪 英百合子 清川玉枝 矢口陽子

 

黒澤明DVDコレクション51

値段も手ごろだったのでまだ見たことのない映画を選んだ。売り文句は黒澤明の脚本家デヴュー作。

太平洋戦争が始まっているので最初に「撃ちせしなんちゃら・・・」(忘れた)

物語は航空機技師の大日方傳(旅客機を設計している あの時代!)に思いを寄せる会社の重役(進藤英太郎)の娘、原節子。しかし、大日方には結婚を申し込んだ山根寿子がいる。山根は弟(中村彰)と母(英百合子)と暮らしており(父は死んでいない)、

弟が軍に志願することを知り、自分が結婚すると母の面倒や生活を見る人がいなくなる心配から結婚の返事の日に約束をすっぽかす。

その間、色々なことが起こるけれど、「お国のために己を犠牲にせよ」的なセリフを役者に言わせる。

 

そんなセリフを挟まなければ軍部の検閲で公開できないかったのだろうか。

少し遊びのような笑わせるところもあるし、弟の志願を知ったあと、山根の脇を兵隊さんが行進する場面は、なんだか戦争反対のメッセージのようだった。

(今の時代みるとそう感じるのかもしれない。他にも木下恵介「母」なんて

よく当時の軍が許したなぁ・・という表情を田中絹代がする)

 

私は山根の弟役の中村彰を知らなかったが、彼のセリフを聞いていると、田中絹代が監督した「恋文」のやはり森雅之の弟役を演じた道三重三を思い出した。

顔が似ているのではなくて、声がそっくりだと思った。そしてセリフやその役柄が同じ感じだった。

道三重三はwikiで調べてもその後がよくわからないが、香川京子によると、彼の監督に対する態度が田中を怒らせた・・・とある。

 

さて、中村彰をwikiで調べて新発見があった。

私が一番好きな映画は「大阪の宿」だけれど、おりくにいつもたかっている男(おりくの夫)役が中村彰という記述があった。

確かセリフがなくて、淀川沿いにおりくを呼び出してお金をもらう場面(2回)に

現れる男性が彼だったのか・・・。

 

この世界の黒澤!DVDコレクション、私には費用対効果があまり感じられないけれど(期待外れの2作品)まぁ、このことで満足しました。

 

追伸 矢口陽子はのちに黒澤明と結婚します。1940年の原節子の「嫁ぐ日まで」で、妹役を演じた人ですが、黒澤明って、、ロリコン気味?だったのでしょうか。

高峰秀子とのことは(やはり17歳)彼女のエッセイに詳しい。また四つの恋の物語でも当時17歳の久我美子をみると矢口陽子と共通しているところがあります。丸顔でちっちゃい、健康的で溌剌とした女の子。