日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

四つの恋の物語 1947年 東宝

第一話 初恋     監督 豊田四郎 脚本 黒澤明 撮影 川村清衛

           出演 池部良 久我美子 志村 喬 杉村春子

第二話 別れも愉し  監督 成瀬巳喜男 脚本 小国英雄 撮影 木塚誠一

           出演 小暮実千代 沼崎 勲 菅井一郎 小林十九二

第三話 恋はやさし  監督 山本嘉次郎 脚本 山崎謙太 撮影 伊藤武

           出演 榎本健一 若山セツコ 飯田蝶子 中村是好

第四話 恋のサーカス 監督 衣笠貞之助 脚本 八柱利雄 撮影 中井朝一

           出演 河野秋武 浜田百合子 清水将夫 田中筆子

 

黒澤明DVDコレクション 42とういう朝日新聞社から発売されたもので初DVD化とある。この作品に関しては黒澤明が第一話の脚本を手掛けているだけであとは関係ない(笑。

本当は「吹けよ春風」が欲しかったが、このシリーズが発売されていると知って、暫くは在庫があったが、いざ購入しようとしたら売り切れで中古として定価より1000円も高く売っている業者がいたりして諦めた。

そしてまだ見たことないこの作品ともう一作品(原節子)を購入。

 

第一話 久我美子のデヴュー作で華奢じゃない久我美子がみれます。健康的です(笑。セリフはあまりなくてやたらとキャーキャー言っているのが印象的。池部良は、学生役にしては(戦争の垢?)老けていて爽やかじゃない。

筋は主(志村喬)が知人から預かった娘(久我)に魅かれていく息子(池部良)、その娘に嫉妬を覚える母親(杉村春子)の話。

 

第二話 元?ダンサーだった木暮に魅かれている大阪の男(菅井一郎)、その菅井との仲を取り持とうとするバーを経営する夫婦が小林十九二と英百合子、小暮の愛人で無職のダメ男、沼崎勲。

 短編なのでどうも木暮が何をやっていたのか定かではないが、住んでいるアパートはどうみても高級、英百合子がそこでタバコを吸う場面があるが良妻賢母のイメージが強い英の喫煙シーンは初めてみたような・・。

小林十九二は禿げていた(笑。菅井一郎はいつもの通り、沼田勲の演技は下手だった(笑。

よくわからないのが、第一話では最初にクレジットが出るのに、第二話と第三話はクレジットがでない。第四話はチラチラした東宝のロゴから始まり、クレジットがでる。

これってなに?

 

第三話はエノケンがミュージカル俳優で相思相愛なのだけれどまだ告白していない相手、若山セツコ。最初若山はバレリーナの恰好でエノケンと相対する場面で若山があまりにも小さいので(エノケンも小さかった)「フリークス」という映画のデイジーを思い出した。ミュージカルの場面で中村是好を発見。飯田蝶子はそこへモノを売りに来る気のいいおばさん役。

話としてはまぁ普通。

 

第四話はサーカスで故意に相手の手を放して殺してしまった男(河野秋武)が検事(清水将夫)の前でそれを再現するためにまたそのサーカスへ戻る。サーカスの親方には進藤英太郎、浜田百合子のぶちょう面が良い(笑。彼女、第二の原節子?柄といい、顔のつくりといい、そんな感じ。でも昭和33年あたりで引退とある。wikiより。

四人目の淑女で初めて見た。

田中筆子はここでは重要な脇役だ。そして若かった。

(私が初めて田中筆子の名を知ったのは川島雄三の洲崎パラダイス赤信号)

 

なんだか変なDVDでした。(第2話、第3話、クレジットなしとか・・)

第二話の成瀬巳喜男に期待して購入したけれど、一番面白かったのは第四話でした。

やはり脚本家の力だろうか。八柱利雄は一番の脚本家だと私は思っています。