日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

朗らかに歩め 1930年 松竹蒲田

監督 小津安二郎 脚本 池田忠雄

出演 川崎弘子 高田稔 伊達里子 吉谷久雄 坂本武 斉藤達雄 毛利輝夫

   鈴木歌子 松園延子

無声映画

見始めて気づいた。非常線の女とそっくりなあらすじ・・・・。

まず、仙公(吉谷久雄)を囲んで男性が財布を掏られたと騒いでいる。そこへ謙二(高田)がさっそうと現れ、身体検査をしようと言い出す。しかし、財布はみつからない。

仙公が捨て台詞で毒づいてその場をあとにする。場面代わって謙二と仙公が歩いている。ふたりはグルだ。

非常線の女もこんな始まり。

やす江(川崎)は会社のタイピスト。社長室へ呼ばれ、社長(坂本武)からこの指輪をもらってくれと口説かれる。きっぱり断るやす江。

ここで違うのは非常線では田中絹代は悪い仲間とつきあう女だったが、やす江は家を助けるために真面目に働いており、母を妹と暮らしている。

非常線での田中の役はやす江と一緒に働いて机も前の伊達里子扮する千恵子で、彼女の恋人が謙二(高田)。

そんなある日、高田は車でやす江をはねてしまう。そしてやす江を好きになってしまう。

しかし、彼はこんな俺にはお前のような女がぴったりだと千恵子(伊達里子)に言ったりする。千恵子は洋装のモダンガールで会社勤めのかたわら謙二と一緒に恐喝を働いたりしている。

謙二と千恵子は一緒には暮らしておらず(非常線では同棲していた)しかし、謙二の部屋にボクシングのサンドバッグがぶらさがっている。(非常線ではボクシングジムに三井弘二が現れる。その姉が水久保澄子。

川崎が水久保と同じような役で、弟ではなくて妹がいる。

ゴルフ場で恐喝を働き車で逃げる途中、謙二はやす江の妹をひいてしまう。

何回ひけばいいの?(笑。

そこへかけよるやす江。

ところで妹役、高峰秀子かと思ったけれど、高峰は当時まだ6歳だからもう少し大きい年ごろの妹役は松園延子というそうな。

 

ある日、謙二はやす江と妹を誘ってピクニックへ行く。

恋人の千恵子がアパートを訪ねても仙公に居留守を使うように言って会わない。

千恵子は、会社の社長にやす江を思い通りになるようにしてあげると言い、ホテルへやす江を呼び出す。そこには社長が待って居るが、それを知った謙二はやす江を助けにホテルへ。

・・・

やす江に恋して、やす江の気持ちを確かめた謙二は、真面目になろうとヤクザ(な生活)から仙公と足を洗う。

ある日、軍平と千恵子が大きな仕事があると訪ねてくる。それを謙二は断るがもみ合いになり、ピストルで撃たれる。

非常線では岡譲二が田中絹代に撃たれる(笑。

やす江が謙二を看病しているとそこへ刑事がきて仙公と一緒に逮捕され、刑務所へ。

刑期を終えた謙二をやす江が迎える。

こんなあらすじ。

その後、33年に非常線の女が作られるのだけれど、脚本も池田忠雄(笑。

非常線の女のほうが有名だけれど、ルーツはこの映画なんだろうと思った。