日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

滝の白糸  1933年 新興キネマ

監督 溝口健二 脚本 東坊城恭長  原作 泉鏡花

出演 入江たか子 岡田時彦 菅井一郎 浦辺粂子 見昭凡太郎

   村田寿宏 滝鈴子

 

昨日の溝口健二で、入江たか子無声映画を思い出した。昔みたことがあったが筋はは忘れてしまっていた。セリフが講談師(女性)?によって新たに挿入されているので良かった。

 

石川県を中心とした旅回りの水芸人、滝の白糸(入江たか子)が馬丁の高田時彦と偶然出会い、彼を立派な男にするため東京での学費を面倒みる。

 

白糸の一座は南京出刃打ちの寅吉一座と一緒にまわっているが、妻の浦辺粂子は白糸に母が死にそうだと嘘をいい、岡田に送ろうとした金を巻き上げて、若い男と姿をくらます。金に困り妻にも逃げられた寅吉は撫子という自分の一座の娘を金貸し菅井一郎の相手にさせようとするが、撫子は白糸の一座の新蔵と恋仲で白糸はふたりに金を与え逃がす。困った人をほっておけない白糸は結局一座のお金を全て恵んでしまうのだ。

 

そこで渋々、金貸しの菅井一郎と一夜を共にする条件で300円を借りるが、南京出刃打ちと菅井はグルになり、渡した300円を帰途の途中奪われてしまう。

現場に落ちていた出刃をみて白糸は菅井が仕組んだ罠だとその出刃をもって菅井宅にまた行くと、菅井は待ってましたと「またお前を可愛がってやる」といい襲い掛かる。

必死に菅井を振り払うと、白糸のもっていた出刃が菅井の腹に・・・

菅井を殺してしまった白糸は、それでも菅井の部屋にあった札束をかき集め、捕まる前に一目岡田時彦に会いたいと夜汽車に乗って東京へ。

 

菅井の下宿を訪ねると岡田は外出中だったが門番?のおばあさんから岡田は姉の話をよくすると聞いて白糸は幸せな気分になる。そして菅井から奪った金を岡田に渡してくれと言づけるが外で刑事に捕まってしまう。

金沢へ連行される途中の汽車から飛び降りた白糸は近所の蕎麦屋へ逃げ込むとそこは助けた新蔵と撫子の蕎麦屋だった。二人にかばわれた白糸だったが結局捕まってしまう。

 

殺人現場に南京出刃打ちの出刃があったことから寅吉も捕まるが、寅吉は白糸からお金をうばっただけだという。

白糸はお金を奪われた覚えはない・・・という・・。

 

裁判官がおどし、すかして白糸に詰問するが、白糸は断固としてお金を奪われたことはないといい、世間では殺したのは寅吉だ、いや、白糸だと噂される。

寅吉のほうが分が悪いのはやはり出刃の存在だ。

 

東京から検察官補助?がやってきた。

なんとそれは学をおさめた岡田時彦だった。対面するふたり・・・。

岡田はあのお金は菅井から奪ったお金ではないだろうか、すると自分も共犯だと考え、白糸に自分が自首する(なんで?笑)というと白糸はお金のことも殺人のことも白状する決心をする・・・。岡田は白糸のために取り調べをすると心に誓う。

ここで随分勝手な男だ岡田時彦!と思ったが、、、

 

裁判で岡田から尋問をうけた白糸は白状し、舌を噛んで死んでしまう。

その後、岡田時彦はとある海岸でピストル自殺をしてしまう・・・という内容だった。

なんだか納得した(笑。

菅井一郎はおじぃさんに近い金貸しの役だったが、一瞬の顔はかなり若かった。

寅吉の妻の浦辺粂子も若かった(笑。

 

入江たか子は当時22歳。

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滝の白糸と呼ばれる 入江たか子

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南京出刃打ちの妻で若い男と逃げる浦辺粂子

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金貸しの菅井一郎

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お化粧が違うのか、なんだかイメージの顔を違う入江たか子 美人だ!