日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

愛怨峡  1937年 新興キネマ

監督 溝口健二 脚本 依田義賢 溝口健二

出演 山路ふみ子 河津清三郎 清水将夫 菅井一郎 浦辺粂子 三枡豊 明春江

   加藤精一 田中春男 野辺かほる 田中筆子

清水将夫山路ふみ子

動画にアップされているけれど画質がひどくてみていて疲れた作品。なんとアマプラで視聴できるので再度見直し。多少画質は良いかな??程度で、どうもフィルムが酷いところはカットしてあるようで話が??な部分がありましたが、若い清水将夫河津清三郎が不鮮明でも見れます。その他、田中筆子(声で気づく)、浦辺粂子(これも声で気づく)の出演があり、また菅井一郎はいつもの安定な演技です。

 

信州の老舗旅館の若旦那、謙吉(清水将夫)は東京の大学を卒業した。父、安造(三枡豊)はまた東京へ行きたいという息子に帰ってくるという約束で東京の大学へ行かせてやったのだと反対する。

孤児のおふみ(山路ふみ子)はその旅館で女中をしているが、いつの頃からか、謙吉と相思相愛の仲となった。

ある日、旅の一座が旅館へ逗留することになったが、旅館の主人に呼ばれたおふみはそこで伯父だという一座の座長、村上藤兵衛(加藤精一)とひきあわされる。

亡き母は旅回りをしていた女だがおふみは伯父から言わせるとどこの誰だかわからない男との間にできた娘だという。伯父はおふみにこのまま旅回り一座に加わるように言う。

その晩、おふみは謙吉に必死で伯父さんは自分を売るのもいとわない男だからすぐ二人で東京へ行こうと煮え切らない謙吉を説得しふたりで汽車へ飛び乗る。

加藤精一・山路ふみ子・奥が三枡豊

東京に行った二人は謙吉の友人夫婦の部屋へ居候するが、謙吉は毎日何もせず、おふみは必死で仕事探しに出歩く。早く出て行って欲しい友人の妻(野辺かほる)は夫(田中春男)を急かして謙吉に言ってもらおうとするが頼りない夫は言うことができず、「もっと居てくれても良いのだよ」と言ったりするのがオカシイ。

清水将夫田中春男

夫をパパちゃんと呼ぶ妻(野辺かほる)って。

野辺かほる

業を煮やして妻は謙吉の実家である信州へ手紙を書き、父親が迎えに来る。

野辺かほる・三枡豊

おふみは同じアパートに住む流しの芳太郎(河津清三郎)の助けでウェイトレスの職を得て帰るとなんと謙吉は姿を消していた。

その時、おふみは謙吉の子を身ごもっていたのだ!悲しみに暮れるおふみだが芳太郎は警察に逮捕され刑事に連れていかれてしまう。

月日が流れ、生まれた男の子を謙太郎と名付けたおふみは養育を生業としている女(浦辺粂子)を通して赤ん坊を預けるが、(以下空想)レストランはクビとなり養育費のためにカフェの女給として働いて2年が経った。

浦辺粂子

芳太郎は刑務所から出所してまたアコーディオンを弾いている。ある晩、カフェに行くとそこにはすっかり変わったおふみがいた!

河津清三郎山路ふみ子・菅井一郎

その晩、羽振りの良い客(菅井一郎)の誘いで女給たちと料亭へ行ったおふみと芳太郎だが、なんとその客は払いをせずに先に帰ってしまうハプニング(笑。

(その後、セリフがよく聞き取れず、いきなりベンチのシーン)

二人が夜のベンチで話していると、おふみの伯父さん、藤兵衛と会う。そこで一座に誘われ、おふみは芳太郎と夫婦漫才をするようになる。なんと伯父さんがおふみの息子を連れ戻し、おふみは謙太郎を連れて全国を旅することになった。

河津清三郎山路ふみ子

なんだか突然伯父さんが良い人になっていて、なにかカットされてるのだろうと思う。

あれだけおふみが嫌っていた伯父さんですが以降、良い人なんです。

旅回りはいつも順調ではなく、信州へ着くころには一座は旅館へ泊るお金もなかった。

楽屋で寝泊まりする一座だが、舞台を見に来た謙吉の姿がそこにあった!

旅の途中、謙太郎が熱をだしており、謙吉は自分の旅館へ泊るように藤兵衛へいう。

おふみと芳太郎が舞台に立っている間に謙太郎は謙吉に連れられ医者に診てもらっているがそれに気づいたおふみは怒りにふるえ、謙太郎を抱きかかえ外へでようとする。

しかし、そんな寒空に赤ん坊を連れ出したら・・・と言われ、謙吉の好意に甘えることとなったおふみ。

 

両親は隠居して松本へ引っ込んだという謙吉はなんと、おふみにプロポーズ!

ところがおふみはもう騙されない。すると謙吉は謙太郎だけでも引き取りたいというがおふみは納得できない。しかし、心の中では旅回りの一座で育てられる謙太郎の行く末も不安なのだ・・。

 

芳太郎はなんだか寅さんみたいな男で、ワザと謙吉を恐喝しナイフをちらつかせる。

怒ったおふみは警察を呼んで芳太郎は逮捕され、おふみは謙吉の嫁となった。

ハッピーエンドかと思いきや、溝口健二監督だから絶対そうはいかない(笑。

 

謙吉が女を家に入れているという噂をきいて謙吉の父がやってくる。おふみをみて一緒にいたいなら宿屋は任せられないから二人で出ていけと言われるとまた優柔不断は謙吉は父に何も言えなくなってしまう。

おふみはそのまま謙太郎を抱くと・・・

最後はまたおふみと芳太郎が漫才をしているシーンで終わる。

 

いつまでも父には逆らえない謙吉でした。

山路ふみ子

よいシーンだなと思ったのは赤ん坊を預けたおばさんが行ってしまうシーン。

赤ちゃんを追う山路ふみ子

あかちゃんとの別れを待っているおばさん。タバコを吸っている