主人公の三田を中心とした芸者のうわばみ(お葉)、友人の田原、旅館のおかみ、その兄のおっちゃん、女中のおりか、おつぎ、およね・・みなそれぞれに悩みがあり決して幸福とはいえない。そして大学の先輩井元は自殺してしまい、井元の娘貴美子・・・
某巨大動画サイトでも見れますので是非見てください。
忘れられない場面・・どの場面も印象的なのだが、
芸者のうわばみ(お葉)が三田の旅館へ酔って訪ねてくる。
三田はそっけない。
うわばみが怒って旅館から飛び出す。後を追う三田。淀川べりでうわばみは自分の身の上話をする。弟が失業していることを話ながら近くのベンチで寝ている浮浪者のかぶっているワラが風で揺れるところをみるうわばみ(お葉)・・・
「三田さんは嫌いでっしゃろ?あてみたいなもん・・」というと三田は
「いや好きだよ・・・でも住んでいる世界が違うんだ・・君とは」という。
うわばみは「違う?世界が??あて、同じやと思ってました・・」
おりかはいつも金に困っている。三田の部屋へ行き、おっちゃんから買ったという舶来?の背広の生地をみて三田さんは生活に困っていないからいいといいながら三田の吸い殻をひとつ懐に入れる・・
おかみに借金を申し込むも逆に「夫なんかじゃなくてお金を無心するのはヒモというのだ」と言い返され・・・悔しくて畳をちぎってしまうおりかにおかみは高い畳になんてことするのと怒る。
お金が欲しいおりかは三田の部屋へ掃除へ行くと机の上に財布がおいてある・・・その中から一枚抜いて懐にしまう・・・慌てて部屋を出ようとすると転んでしまう
結局、また財布にお金を戻すが、そこへ三田が戻ってくる。お金はあげるよというが、おりかはいらないという・・。
三田は「金、金、金・・・」の世界にひとり怒るのだ。
うわばみ(お葉)が酔って三田を訪ねてきておつぐに酒をもってきてと頼んだついでにチップをもらったおつぐ・・・おかみが起きてきてどこの芸者だ、わてらが出てた時にはな・・・といいかけて口をつぐむ・・それをきいたおつぐの表情
三田とおりかと大阪城へ行き、弁当を食べる。戦死した夫を見送ったことをいうおつぐ
おっちゃん 女好きなおっちゃんは若い娘と逃げるが三田たちが大阪城で一緒にいるところを目撃
おみつ 三田が夜中に廊下へでるとトイレから出てくるおみつを見てしまう・・
後半では座敷の場面。
支店長と野呂の会社の社長、野呂、そして三田がいる。
うわばみ(お葉)とのやりとりがおもしろい。
支店長が今日は三田君は接待する側だというとうわばみ(お葉)は
「へぇー、そんなのも月給に入ってますの?」といい言い返せない支店長(笑
それ以外のやりとりもとてもおもしろいのです!
結局、三田はまた東京へ戻ることになった。住友氏に言わせると「また荷物のように送り返される」のだ。そこで今は曽根崎のすき焼きやにいるおりかのお店でが集まる。
おみつも呼んだが、夜業で来れない。
三田はここには不幸な人間が集まっているが、その不幸を笑い飛ばしているんだという。みなで炭坑節をうたう・・・
五所平之助=八柱利雄コンビの最高傑作!
溝口健二だと女性はとことん不幸のどん底だけれど五所の描く女性は不幸だけれど溝口ほどひどいことにはならない、その点では成瀬巳喜男と似ている。
この映画の結末も三田は会社を辞めない決心をする。おっちゃんもおりかもおつぐもそしてうわばみ(お葉)もこのまま同じように生きていくのだろう。
ちなみに私は三田とお葉の淀川べりでのシーンで何十回みてるのにも関わらずいつも泣いてしまいます(笑。
そして映像が美しい!白黒でも十分美しい!(今ならアマゾンプライムビデオでカラーも見れます。プライムメンバーなら無料です しつこい)誰かデジタルリマスター作ってくれないでしょうかねぇ・・。