日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

ある脅迫  1960年 日活 

監督 藏原惟繕 脚本 川瀬治

出演 西村晃 金子信雄 白木マリ 草薙幸二郎 小園蓉子 河上信夫 浜村純

 

www.nikkatsu.com

日活より

登場人物は少なく、たった1時間5分の映画だけれど無駄が省かれて納得なサスペンス。

心理描写の演出がよい。派手さはないが白黒で怖い。さすがに藏原監督。

 

とある地銀の直江津支店。

頭取の娘(小園蓉子)と結婚した支店次長の滝田(金子信雄)は銀行本部の業務部長として新潟へ栄転が決まる。

送別会の座敷でお燗の番をしている中池は、滝田とは中学の同級生であるが滝田にいつも利用され、恋人であった頭取の娘も取られて出世とは程遠い。そんな中池を妹で芸者をしている梅葉(白木マリ)はなじるが、梅葉も滝田に騙された女のひとりなのだ。

 

転勤まで3日となった晩、滝田は東京からきたという男、熊木に強請られる。

滝田が印鑑を偽造して浮き貸しをしていた証拠を握る男は滝田に300万円を要求。そんなお金は用意できないというと、熊木は銀行には現金がうなるほどあるではないか・・・と言う。

 

強盗がまさかその支店の銀行員であるハズがない、それを逆手にとれば成功する・・・

そう考え、腹を決めた滝田は翌日の当直が中池だと知るとあえて飲み屋に誘い、当直に来ないように仕向け、深夜、支店へ向かう。裏口でサングラスを落としてしまった滝田だが口を隠し、帽子を深くかぶって用務員(浜村純)を脅して侵入するが、なんと宿直室には中池がいた。滝田はなるべく顔をみられないように中池を熊木から渡されたピストルで脅しながら金庫までの扉を開けさせ、足がつかないように古い札を300万円抜き出して去ろうとする・・・そこへ中池が300万円で足りるのか?と言われ、じっと顔を見られる滝田・・・汗が流れる。

で、このシーン、どーする滝田?なんだけど、えーーーーーーーーーーーーっていう展開でビックリ、そしてなるほど・・・

 

さらに物語は続くが大人しくてやられっぱなしだった中池と将来が保証されているであろう滝田・・・最後の最後までドキドキする。

西村晃はやっぱり芸達者。

 

これ、数年前に動画にアップされていて見ているはずだが、最後の結末はすっかり忘れていた。その動画はチャンネル自体が今でいうBANされてしまっている(笑。

同時期に鈴木清太郎鈴木清順)「8時間の恐怖」もアップされてたんだけどなぁ。

アマゾンより