日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

姉妹  1955年 独立プロ

監督 家城巳代治  脚本 新藤兼人 家城巳代治 原作

出演 野添ひとみ 中原ひとみ 多々良純 望月優子 川崎弘子 河野秋武

   内藤武敏 織田政雄 殿山泰司 加藤嘉 北林谷栄 

 

久々の大ヒット♪♪  

優しい姉、野添ひとみと天真爛漫な妹中原ひとみを中心とした物語。独立プロだから

首切りとか組合とかでてくるが、人々の普通の暮らしを描いている。

 

山の中の発電所に勤める父 河野秋武、妻、川崎弘子。長女の野添ひとみと次女の中原ひとみは学校へ通うため、母の妹?で街に住んでいる望月優子、大工の棟梁?の多々良純の家に下宿している。

野添ひとみは妹の世話をやく優しい姉。一方妹の中原はお小遣いをすぐ使ってしまい、小言を言う毎日だ。野添はお金をだしてもらって町で勉強させてもらっていることに感謝して無駄遣いしないようにと妹に言うのだ。

 

野添ひとみの制服姿が最高に可愛い。若いいだけじゃなく清楚で品がある!

 

中原は自分の言いたいことをはっきり言う、男の子のような娘だ。

正反対なふたりだが仲が良い。

 

野添は父の発電所に勤める若い内藤武敏が気になる。内藤もまんざらでもないし、妹の中原も相違相愛だと思っているのだ。

 

印象に残ったシーンのひとつに 野添が内藤武敏に本を貸してもらう。彼の社宅?(と言っても一軒家)へ行くと、内藤の部屋は散らかったいる。縁側に座って部屋の中をみながら、なにか考えているような野添の顔が良かった。

内藤は田舎から送ってもらったと言うスルメを押し入れからだして焼きながら焼酎を飲むのが最高だと話すと、野添はちょっと困った顔をして「お酒飲むの?」と聞く。

彼女の父、河野秋武は(多分)お酒は飲まない人なんだろう。

そしてまたちょっと考え込む野添。

 

監督の演出最高!

 

私は、結局野添と内藤が結ばれるのだろう・・・と思っていたら、、、

なんと野添はお見合いで銀行員と結婚するのだ(ネタバレ)。

両親もとても喜んでおり、町から伯母夫婦がやってきた嫁入りの日。

花嫁衣裳をきて出かける準備をしていた野添に中原が「本当にいいの?内藤さんがすきじゃなかったのか?」と訊くと野添は両親も喜んでいるから・・・という。

中原は納得いかないのだが、結局、嫁入り先でいじめられたらやり返せ、私も応援にいくといったりする。

しかし、私は野添は両親に勧められるまま内藤を諦めて別の人と結婚するのではないと思った。

近所のお嫁さんから「お見合いで結婚した方が良い」(その人はいつも夫の殿山泰司に殴られている)と言われて考え込む野添・・・の場面があるのだ。

 

内藤は内藤であっさりしたもので中原になんで姉さんと一緒にならなかったのだ?と訊かれると、自分には仕送りしている幼い兄弟もいるし、彼女にはもっとふさわしい人がいる。それに自分を釣り合いがとれるのは違う人なんだと言うのだ。

 

色々なシーンで色々考えさせられる。

 

そして最後のシーンも最高♪

花嫁衣裳で嫁入りのため町へ向かうバスに乗った野添と付き添いの両親、伯母夫妻。

村のみんなから送られる。こういうシーンは普通だが、

バスが山を下っていくと前方に馬をひいている近所のお嫁さんが歩いている。

バスに野添が乗っていることに気づいたが、野添は後ろ向きで座っていて気づかない。

それでも手を振る・・・このカメラワーク良かった~。

 

続く