日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

三つの顔  1955年 日活

監督 井上梅次 脚本 舛田利雄 井上梅次

出演 水島道太郎 三國連太郎 伊藤雄之助 新珠三千代 飯田蝶子 殿山泰司

   桂典子 加原武門 山田禅二 安部徹 福田とよ 増田順二 廣岡三栄子

   小林重四郎 高品格 市村俊幸 安部徹

 

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水島道太郎と新珠三千代

 

ビルマから復員した3名の戦友物語。昭和25年、3人は品川へついた別れ際、5年後に東京駅で会おうと別れる・・・・。

 

そして5年経った。

 

今はニコヨンをしている大三(伊藤雄之助)は明日が戦友と会う日だが、お金がない。少しでも貯めるため飲まず食わずで働いて現場で倒れてしまう。そんな大三を救おうと仲間の源さんはみんなからカンパを集めるが、身寄りのない娘と一緒に働いているばあさん(飯田蝶子)はそそくさとその場を後にする。

ばあさんを捕まえてなんとかもらったのはたったの5円・・・そこで源さんが2割の利息で2000円を貯め込んでいるばあさんから借りる交渉をすると、2割の利息ならいい話だと貸してもらうことになった。中古の背広を買うという大三にばあさんは貸衣装がある。浅草に一緒に行ってやるからと出かけていく。

 

ばあさんには戦死した一人息子がいたが、洋服をみている大三が一瞬、自分の息子のヨシ坊にみえて、値の張る背広や靴を借りてやってしまう。

 

志賀英治(水島道太郎)はボクサーだが、もう30才になっており、今度の試合の結果でボクサーとしての道が開けるか、やめるかの瀬戸際だ。住む団地には結核で体の弱い妻(新珠三千代)がいる。ボクシングで金を稼いだらふたりで喫茶店でも開きたいと思っている。

荻山組の社長、荻山はそんな志賀のスポンサーになりたいと言う。喜んで会いに行くと

30万円やるから今度の試合は負けてくれ・・・と言われ志賀は憮然として席を立つ。

団地に帰ると住民から結核の人がいると子供にうつるかもしれないと暗にほのめかされ、団地はいずれ引っ越さなければ・・と思う志賀・・・。

お金欲しさに荻山に八百長を約束してしまう。

 

健一郎(三國連太郎)はピストル強盗を他の仲間と実行しボスの待つ車で逃走を図る。

健一郎の実家は金持ちで何不自由なく育った彼だが、復員して帰ると元運転手の篠田が

姉の真理(廣岡三栄子)の亭主に収まってバーを真理にやらせていた・・・そして篠田は健一郎に強盗をやれと命令したのだ。

ガスタンクに逃げた健一郎だが、周りを警察に囲まれてしまう・・・。

 

約束の当日、大三はひげもそり、背広を着こんで東京駅で待つが、何時間たっても他の二人は現れない。

新橋駅前の街頭テレビで志賀の試合が中継されているのを知った大三は急遽試合会場へ駆けつける。

志賀は6回でノックアウト・・・という話になっているのだ。

 

そこへ大三が応援に行く。自分は負けるのだと決めた志賀だが、戦友の応援でやはり八百長などできないと相手をノックアウト!

しかし荻山は許さない。控室にいる志賀の両腕を折ってやるのだと手下を連れて押しかける。大三は代わりに自分の腕を折ってくれと荻山に必死に頼むのだ。一緒にビルマで戦った戦友を助けてくださいと言う大三に荻山はいた部隊を聞く。203隊ですというとそれまで怒り心頭だった荻山は自分は204隊にいて203隊に助けてもらったといい部屋から出ていく。

 

志賀は外で待っている妻と食事でもしようと大三と帰るその途中、警察に捕まって護送される健一郎を乗せた車が追い抜いていく・・・

 

って感じの話。

3人の様子がうまくつないであって、みんな戦争で人生を狂わされていることがわかる。

健一郎はほとんど口をきかない演出なのだがなかなかよろし。

眼鏡が似合う三國連太郎であった(笑。

 

こんなにハンサムな伊藤雄之助は初めて見た。東京駅で待つ伊藤雄之助

伊藤雄之助とは思えない伊藤雄之助 笑

伊藤雄之助というとこんな感じだよねいつも↓

ニコヨンの伊藤雄之助

ところどころギャグがある。福田とよが水島道太郎を応援し、対する安部徹の手下の市村俊幸は彼女があまりにもうるさいので菓子パン?を彼女の椅子に置き、それを知らずに座った彼女はパンがぺしゃんこになっているのに気づく。その後、市村俊幸に福田とよは報復し、市村の席に置かれたパンがぺちゃんこ・・・になる。

でもこのギャグいるか?(笑。

 

興奮する福田とよ

井上梅次監督だから水島道太郎が八百長やるかやらないかと悩んだ試合の前夜、クラブで飲むシーンがある。そこへホステス?の山岡久乃がやってきてジュースを飲んでいた水島に酒をすすめるところがある。この役、月丘夢二だったらいいのにと思った。

 

水島道太郎と山岡久乃

 

 

 

日活より