日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

月夜の傘    1955年 日活

監督 久松静児 脚本 井手俊郎 原作 壺井栄

出演 田中絹代 轟夕起子 坪内美子 新珠三千代 宇野重吉 三島耕

   三島雅夫 飯田蝶子 伊藤雄之助 東山千栄子 二木てるみ 高田敏江

 

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東京の郊外に住む4家族の物語。井戸端で洗濯をしながら女性達の考えが描写されている。まぁ、可もなく不可もない。

 

ビックリなのがロケ地の様子。日活のサイトだと世田谷区(梅が丘駅、羽根木公園)とある。今はすっかり変わってしまったであろう住宅街はまだ家が建て込んでおらず、しかも各家庭には風呂がない。今の戸建てからすると庭も十分にあってうらやましい限りだけれど(笑。雨の日は道が泥だらけだろうなぁ・・・。

 

田中絹代は中学校の教師をしている夫、宇野重吉と3人の子供達と暮らしている。宇野重吉は家では子供達から暴君を呼ばれていて庭の苔を大切に育てているが、子供達が鳥小屋を作るので踏み荒らし、激怒したあげく鳥小屋を破壊するのだ。

 

轟夕起子は女性達の中のリーダー各で一番高台に住んでいる。夫は三島雅夫。高校生の息子が一人とばあやの飯田蝶子。間借りしているのが夫に死なれ、洋裁で生計を立てている坪内美子と彼女の娘の二木てるみ(まだ6歳?)。

 

坪内美子の見合い相手がやはり妻と死に別れ、小学生の息子がいる伊藤雄之助

見合いはしたものの、二人とも子供がいるので再婚には消極的だったのだが、上野の映画館でひょんなことから再開し・・・

 

新珠三千代は見合い結婚した夫、三島耕とローンを組んだ家に暮らしている。彼女はまだ若いので大学生からひとめぼれされたりする。彼女の夫はいつも出張で留守がちで、そのことを他の主婦から淋しくないかと聞かれ、全く淋しくないと答えるとそれはあなた達が見合い結婚だから愛情がないのね・・・と言われたりする。新珠はいままで夫が出張さきで何をしているか考えたこともなかったが、みんなからもしかしたら別の女性が現れてご主人をさらっちゃうかもしれないなどと言われ、気にするようになる。

ある日、4人と銀座へ遊びに行ったあと家に帰ると会社の同僚だという女性がいた。

新珠はなんだかモヤモヤして嫉妬してしまう。

三島耕ほどの美男子なら私も嫉妬してしまうだろうと思った(笑。

 

この月夜の傘という題名は、子供達と喧嘩した宇野重吉がその夜、なかなか帰ってこない。雨が降り出して田中絹代は駅まで迎えに行く。そこへ宇野重吉が現れてじっと見ていると金物屋へ入る。出て来た宇野重吉田中絹代が声をかけると宇野は壊した鳥小屋の金網を頼んできたという。

 

橋から下をみると川面に月が浮かんでいるのだった・・・終わり・・・

雨はもう止んでいるはずなのになぜか宇野重吉が○○中学校と書かれた和傘をさしている。でこの映画の題名に納得する(;'∀')

 

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