日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

どろ犬  1964年 東映

監督 佐伯孚治 脚本 池田一朗 原作 結城昌治

出演 大木実 高城裕二 原千佐子 西村晃 田中邦衛 井川比佐志 高橋昌也

   織田政雄 神田隆 

 

日本映画専門チャンネルより

 

とある警察署。

部長刑事の菅井(大木実)は犯罪者に容赦ない取り調べをする鬼刑事。

ある日、雨の夜に知らない男性の車に乗せてもらい強姦された女性の申し出で犯人を逮捕するも、その男が被害者に示談金で告訴をとりさげさせ何の罪にも問えない・・・

そんな新しい法律に悔しい思いをする菅井だった。

 

彼は一人娘も死に、妻にも出ていかれた。だが密かに自分が逮捕したヤクザ者の情婦であった女の千代(原千佐子)の面倒をみている。彼女は働きに行きたいというが菅井はそれには反対だった。しかし、結婚するわけにもいかない。

 

街のヤクザ、山口(西村晃)とバーでばったり会った菅井。山口からアニキ分の女を囲っていると言われるが、菅井は意に介さない。それよりその日に強姦犯を逮捕できなかったことを山口に愚痴るが、その後、山口はその男を強請って20万円をせしめ、菅井に分け前として半金の10万円を渡そうとする。怒った菅井はその金をたたき返すが、千代のアパートまで言って無理やり金をおいていく。

千代はそのうち5万円を持って菅井のために買い物へ出ると、山口の手下で頭の弱い

千葉という男(田中邦衛)が後をつけているのに気づく。山口に指示されたらしい。

千代は千葉を呼び止め帰るようにいうが、道すがら千葉は千代と刑事の菅井を愛し合っている夫婦だと言い、それに気をよくした千代は千葉に着るものや靴をデパートで揃えてやる。千葉はなんとちびた下駄ばきだったのだ。小遣いはほとんどもらえないらしい。そんなところにも同情した千代だったのだ。

 

菅井は千代のアパートでお金があるのに気づき、慌てて山口へ返しに行くが千代が使ってしまった5万円は後で返すというと山口は納得しない・・・・

 

その後、署内では逮捕されたが釈放された男たちが山口に強請られていることが話題になり、犯罪になっていないのにどうして山口が知っているのか、署内の誰かが密告しているのではといううことになるが、まず疑いの目を向けられたのは山口と同郷の刑事、

徳持(井川比佐志)であった。

俳優で真面目キャラで人気の男(中山昭二)もあることで強請られ、警察は山口を逮捕しようと住まいに行くがすでに山口は行方をくらませていた。

これは山口に情報を流していた菅井が連絡したからで、菅井は山口とはすでにユスリの共犯で、山口が逮捕されるのはまずいのだ。

 

山口から大平ホテルにいると呼び出された菅井刑事だがそこへ自分の汚名を晴らそうと捜査から外された徳持刑事が独自に聞き込みをしてやってくる。山口を取り押さえるが菅井刑事に絞殺されてしまう。これが菅井刑事の第一の殺人。

菅井は山口に大阪へでも行ってくれと5万円を渡す。

 

取調室には菅井がいる。

 

翌日、山口の手下の千葉が女からの差し入れだと署をおとずれるがその差し入れのコーラを飲んだとたんに山口は苦しみだして死んでしまう。コーラには毒が入っていたようだ。それを持ってきた千葉だが、全て菅井の指図で菅井は千葉も口封じで殺してしまう。すでに3人殺している菅井・・・。

 

コーラに入っていた毒物は、俳優とのことで悩んだ看護婦が自殺したときに使った薬物で署内に保管してあったが、それが消えており、そのことに疑念をもった安田刑事(高城裕二)は菅井刑事にもそのことをいう。安田刑事はなんだか菅井刑事の様子がおかしいとおもいだす・・・

 

当初、山口が強請った金を返した菅井刑事だがいつのまにか金をもらうようになっていたのはその描写がないのでなんだか、え?いつから?という感じだった。

原千佐子との絡み場面とかうなされてスリップ一枚の原千佐子を追いかける場面(笑 はいいから、そっちに時間使ってほしかったが、ま、仕方ないか・・・。

 

大木実の変わりようももう少し丁寧に見せてくれたらと思う。

 

最後の終わり方はよかったけれどね。ちょっと残念な映画だった。

 

 

アマゾンより