日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

新東宝犯罪捜査シリーズ 1.麻薬街の殺人 1957年 新東宝

監督 浅野辰雄 脚本 浅野辰雄 西沢 治 野上徹夫

出演 殿山泰司 近藤宏 本城智恵子 黒川 正 神本貞也 赤羽 茂 荒谷甫水

   大和田利久 福岡弥栄次

 

nipponeiga.com

 

東映の警視庁物語、日活の事件記者、そして新東宝の犯罪捜査。

このDVDは購入するかしないか、ずーーーーーーと迷っていた。なにせ新東宝大蔵貢だし、新品は2万円越えの高値であったからだ。

ただ隠し撮り?も多用して当時の東京の街並がみれるんだよねぇ、国方伝(道三重三)の出演作もあるんだよねぇ・・・ということで中古を四分の一の値段で購入(;'∀')。

そしてこのシリーズ日米映画株式会社が製作とあるので大蔵貢はあまり関係ない?

 

 

1話 たったの32分という短さ。

警視庁、警察庁兵庫県県警の協力とクレジットにある。

そして事実に基づいてつくった作品とのこと。麻薬絡みの殺人事件だ。

 

神戸で他殺体が発見され、その男は以前から警察が麻薬絡みで目をつけていた丸徳商事の河村という男であった。男のポケットの中から麻薬(白い粉?)が発見される。

 

兵庫県警の桑田警部(殿山泰司)は部下の小田刑事(荒谷甫水)を丸徳商事が経営する店に潜入させている。

丸徳商事の丸徳社長(田中志幸)を署に呼んで事情をきくが、河村がお金を使い込んで姿を消したとしらばっくれる。その後ろでは殺人を何件も犯しながら証拠がないために逮捕できない南条(近藤宏)の取り調べが行われていた。

 

その後、丸徳から雇われた弁護士が南条を釈放させる。丸徳は取り調べを受けていた南条の腕を買い、彼を仲間にして囲い込むのだった。

 

 

河村を殺したのは丸徳から依頼を受けた半田(神本貞也)とい男だが、半田はそのことをネタに丸徳の子分の村上(黒川正)に金をせびりに来る。手を焼いていたので丸徳は南条に半田殺しを30万円で依頼するのだが・・・・

 

浅野辰雄という監督は1938年に芸術映画社に入社し、記録映画の監督として活躍したどうだ。その後、1953年に「アナタハン」の脚本をスタンバーグ監督と共同執筆した。劇映画の監督もしたが1960年代にはピンク映画も撮ったというが1970年代以降は記録映画の活動に専念し2006年に90歳で死去。

 

さすがに記録映画出身の監督とあって、丸徳の仲間になった南条(近藤宏)を配下のメンバーと麻薬街を見て回るというところがある。まず喫茶店の女、ユリ(本城智恵子)が配下の男に麻薬をねだる場面があり、どのようにして中毒にするかの手口を南条に説明したりするのは警察の協力から脚本を書いたと思う。この映画では中毒にした女性をどこかに売るとかじゃないので逆にリアルな感じがする。

 

30分ほどの映画だけれどなかなかだったが、なにせ新東宝(笑、知ってる俳優さんが殿山泰司近藤宏しかいない。

出演者の神本貞也(半田役)、荒谷甫水(小田刑事)、赤羽 茂(渡辺警部補)、黒川正(村上役)、喫茶店麻薬中毒のユリ?(本城智恵子)、全てネットで検索してもこの映画と同じシリーズの出演作くらしか載っておらず画像もないので行方不明(笑。

 

唯一、田中志幸(丸徳の社長)は脇役としてけっこうな数の映画に出演しており、デコちゃんの「名もなく貧しく美しく」では泥棒役だった。

 

それにしても画像があれていて、これで新品2万円超えは高いと思う。