日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

四人目の淑女  1948年 松竹

監督 渋谷実 脚本 新藤兼人

出演 森雅之 笠智衆 濱田百合子 木暮実千代 三浦光子 月丘夢路 望月優子

   殿山泰司 清水将夫 見明凡太郎 坪内美子 北原繁

戦後3年で作られた映画。世の中が変わってしまい、お金、お金の世の中に幻滅する男・・・。いまにも通じる考えさせられる物語だったが、もう少しなんとかならなかったのか?という箇所が少々(笑。

 

音楽学校時代の親しい女友達4人を復員後訪ねる吉田和夫森雅之)。戦争で日本はすっかり変わってしまった。

華族の娘の佳王子(濱田百合子)は家が没落し、借金で家屋敷を取られそうになっている。そこへ成金の古川(笠智衆)が結婚を条件にお金を出すという。佳王子の姉(坪内美子)も乗り気で佳王子も承諾する。彼女はやはり今までのような暮らしがしたいのだ。そんな佳王子の屋敷へ復員して身なりのみすぼらしい吉田が訪ねてくる。兵隊へとられる前に吉田と佳王子は接吻を交わし、彼は佳王子が自分を待っていてくれていると信じてやってきたが、愛だけでは生きてい行けないと佳王子に言われ、幻滅する。

 

濱田百合子

次に訪ねたのは今は酒場で歌を歌っている時代(三浦光子)。彼女には悪いヒモ(北原繁)がいるがそのヒモは同じ酒場でやたらと時代に挑発的なユミ(望月優子)とも関係をもつ。時代は無理がたたってか血を吐くがそれでも吉田の忠告を聞かずにヒモのほうが良いという。

三浦光子

ここではカルメンの服装ででてくる望月優子に注目♪おばさんのイメージが強い人だったけど、こんな役もしていたのんだね~。

望月優子森雅之

そういえば老け役の笠智衆が年齢そのものでなんと銀行の給仕から戦後、成金となった悪役を演じているのもめずらしい(笑。

笠智衆

次に吉田は芸能界デビューして舞台のプリマドンナとなった林原好江(月丘夢路)を訪ねるが、好江の出演する劇場前で吉田は好江が倒れ、救急車で運ばれるのを目撃する。早速病院を訪ねるも、好江のマネージャー?(殿山泰司)から好江は会いたくないと言っているといわれ、さらにお金をだされて憤慨し、病院を後にする。しかし好江は危篤状態で口がきけず、会いたくないというのはマネージャーのウソだった・・・。

好江のポスター

状態がよくない好江(月丘夢路

そんなことも知らずに、ますます傷つく吉田。最後に孝子(木暮実千代)がマダムをしているクラブへ。そのクラブは佳王子と結婚する成金の古川が経営しているが孝子は一度だけ古川と関係し、マダムにしてもらったのだ。

吉田をみて孝子はルーレットに誘う。そこであえて吉田に勝たせて大金をつかませ、これで人々がどんなふうに変わるのか見に行こうという・・・。

 

パリッとしたスーツに着替え、吉田と孝子が訪れたのは佳王子の結婚を発表するパーティー会場。お楽しみとして来場者が仮面をかぶって踊る舞踏会が開かれるが・・・

ここで大笑いだったのはその仮面がなぜか おかめにひょっとこ…狸とキツネ・・・

イノシシ?の坪内美子

ひょっとこのお面をかぶる木暮実千代

化かし、化かされって意味なのか 狸(森雅之)と狐(濱田百合子)

さすがに戦後3年なだけあって仮面が日本のお面wだし作りもチープ感満載(;^_^A

吉田は佳王子に自分は財産を受け継ぎお金持ちであることを告げると佳王子は古川より吉田のほうが良いと言い出す。ところが吉田はお金持ちでもなく、そのことがわかった佳王子だが、そのやり取りを古川に聞かれ、あわてて取りすがる佳王子に捨て台詞を吐いて古川は去ってしまう。

 

次に時代(三浦光子)のヒモ(北原繁)にルーレットでもうけた札束を渡し、時代と別れてどこか行ってくれという吉田。ヒモはもちろん承知してユミを大阪へ行こうと荷造りしているところへ時代がやってきた。そして時代はヒモを階段からつきおとしてしまう・・・それを見て逃げるユキの慌てっぷりが最高♪

 

好江の病院へ訪れた吉田と孝子だが、吉田は会いたくないという。孝子が好江の病室を訪ねるとなんと好江は死んでいた。

病院の応接室では好江の弁護士(清水将夫)と好江の芸能プロダクション?の関係者3人が好江のしていたダイヤ?の指輪についてもめている。これまで好江につぎ込んできたお金がもう回収できないと知った3人の男は好江の指輪をもらうというが弁護士は遺言では吉田和夫にもらってもらうと書いてあると譲らない。

 

吉田の妻とウソを言い、好江の死に顔を見た孝子は、自分が好江としてベッドに横たわり、吉田と会話する・・・。吉田が好江を誤解したままでいるのはやるせなかったのだ。好江と会話していると信じてた吉田。お金、お金という世間にも好江のような女性がいたと満足する。

 

孝子と一緒に車に乗り、海岸線を走っていると吉田は途中で降りるという。孝子は吉田を追いかけてまだ自分のことが残っているというが吉田は君のことはわかっている。お金が一番大事なんだから・・・といい去っていく・・・。

 

何か感じた孝子はマダムの地位や古川の元を去り、吉田がまだいるであろう地へ車を走らせる・・・ってどこに吉田がいるのだ?吉田は孝子と別れるとき、好江のところへまた行くと言ってたんだけど(笑。ここ、ちょっとわからない・・。ま、新藤兼人だしね(笑。

 

一方、古川との結婚が諦められない佳王子は古川のいるクラブを訪ね、もう一度結婚してくれと頼むがケンモホロロな態度に思わず置いてあったピストルで古川を射殺!!

 

森雅之木暮実千代

キャスト順では濱田百合子のほうが一番ででてくるが木暮実千代のほうが出番が多くやはり彼女の色気は圧巻だった。

 

木暮実千代

月丘夢路は映画冒頭にちょっと映り、後は病院のベッドで寝てるだけのセリフなし。さらに死んじゃってるから後半はベッドで目を閉じてるだけだったが美人度からするとやっぱり月丘夢路が一番美しかった。

松竹より