日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

旅路 1953年 松竹 

監督 中村登 脚本 池田忠雄 原作 大佛次郎

出演 笠智衆 岸惠子 佐田啓二 月丘夢路 若原雅夫 日守新一 千田是也

   槙扶佐子 

 

アマゾンより

岸惠子佐田啓二の恋愛もの・・かと思いきや、そこに若原雅夫の登場で三角関係の恋愛ものかと思いきや、そーでもなく。笠智衆佐田啓二、若原雅夫、月丘夢路日守新一、それぞれの人生の生き方が描かれていて2時間近い作品だったが飽きなかった。

 

高利貸しの岡本(笠智衆)は一人息子に戦死され、息子が登った常念岳で自分も自殺をしようとするがたまたま通りがかった歴史学者の瀬木(千田是也)とその弟子の捨吉(若原雅夫)に助けられ、生きる選択をする。

ここで登山なのに笠智衆が普通の恰好で登っていくシーン、そして頂上付近の崖に立つシーンにビックリ(笑。

 

コワすぎるって(;^_^A

岡本には妙子(岸惠子)という姪がいるが彼女は岡本の兄が愛人(だったっけ?女中だったっけ?)に産ませた娘で彼女は学校を卒業すると東京の会社に勤めひとり暮らしをしている気丈な娘なのだ。時折、鎌倉の岡本の家を訪ねそして岡本の息子の墓参りをする。墓所で出会ったのが岡本の戦死した息子の戦友の良助(佐田啓二)でお互い挨拶を交わす。その後、妙子は日比谷公園のテニスコートでテニスに興じる良助と再会。

妙子の同僚の初子(北原三枝)は妙子にはっぱをかけてもっと良助に積極的になれなんていう。

良助は高級車のブローカーなどで生計をたてその仕事の繋がりで元男爵、岩室(日守新一)の妻カオル(月丘夢路)から仕事をもらっている。カオルは戦後、華族の没落で夫の家屋敷の維持やいままでの贅沢を継続するために稼ぎにせいを出しているがそんな妻のカオルはなんの取り柄もない夫には内心愛想をつかしている。

 

月丘夢路佐田啓二

鎌倉の岡本は自分を助けてくれた瀬木博士と弟子の捨吉と交流をもつ。特に捨吉は戦死した息子と年も一歳しか違わず、まるで自分の息子のように思えてならない。そんなこともあって捨吉を鎌倉の家を使わせて勉強させたりしている。

 

妙子は良助とデートを重ね、ある日一夜を共にする。将来は結婚するつもりで付き合うが良助の生き方や考え方と妙子の生き方や考え方が微妙に違ってくる。

 

岸惠子北原三枝

ある日、カオルから自動車を売るように頼まれ80万円を手にする良助だが60万円だけしか金を持っていない。問い詰めるカオルに良助は20万円は株ですってしまったがなんとかして返すといって姿を消す。良助の田舎で金を工面しようと旅立つ前に妙子に会ってことを話す。妙子はその足で岡本に金を借りようと鎌倉へ行くが留守番の捨吉がひとりいるだけだった。その日、岡本が能を見に行く前にある人物に貸す30万円を捨吉に預けていった。その札束が捨吉の机の上にありそれを見た妙子は捨吉がお茶をいれに席を外した時に持ち去るのだ。その後、カオルを訪ねて20万円と10万円は利息だといってカオルに返す。

お金がなくなっていることに気づいた捨吉は、カオルの仕業だと気づきつつ、ポケットにいれて散歩にでたらどこかで落としてしまったという苦しいウソをつく。

岡本と共に警察を訪れるが警察官は逆に捨吉を怪しむのだが、岡本の養護で取り調べもされずに帰る・・・。そこへ妙子が現れ、金を盗んだのは自分であるという。

 

千田是也と若原雅夫

妙子は良助と別れる決心をして田舎へ行った良助の元を訪ねる。案の定、良助は金を工面できずにいたが案外と平気な様子だ。列車での別れ際、妙子はカオルの金はもう心配するなと一言いって去っていく・・・。

 

ってこの終わり方、続編つくれそうだったんだけど(笑。

 

若原雅夫は岸惠子と鎌倉で会った時から惹かれているが、告白する前に岸惠子から恋人の佐田啓二のことを聞かされる・・・。そこで失恋するのだが佐田に別れを告げた岸惠子なんだからその後の物語を作ろうと思えば作れる。

さらに月丘夢路日守新一と離婚する。彼女は夫から「もう若くはない」みたいなことを言われ、自分も薄々そのことには気づいている。しかしなぁ、30代でおばさん扱いってどーよ(笑。まぁ昭和27,8年当時なら不思議じゃないけど(;^_^A。

 

月丘夢路日守新一

しかし、月丘夢路って美人だよね~~~って昔の邦画を見れば見るほど思うようになった。

洋装の月丘夢路

着物姿の月丘夢路