日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

君の名は   1953年 松竹

監督 大庭秀雄 脚本 柳井武雄 原作 菊田一夫

出演 岸惠子 佐田啓二 淡島千景 川喜多雄二 小林トシ子 野添ひとみ

   市川春代 望月優子 

 

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岸惠子と言えばこの映画。真知子巻きが大流行したそうだ。

が!

有名で人気があり、名作といわれる映画なんだけど、現代娘(笑、な私には退屈でやたらとイライラした映画だった。

 

5月24日、銀座にいた真知子(岸惠子)は空襲にあい、春樹(佐田啓二)に助けられ、防空壕で一夜を明かす。夜明け、数寄屋橋に戻った二人はでお互い名も知らずに半年後の夜8時、お互い生きていたら会いましょうで別れるのだが・・・。

 

真知子の両親は空襲で亡くなり、戦争が終わって真知子は佐渡に住む叔父に呼び寄せられるが、その日は春樹と待ち合わせした数寄屋橋へ行く日だった・・・。

会えない春樹のことを思いながら、佐渡へ渡る船で料理屋を営む綾(淡島千景)に話しかけられる。彼女はその後、真知子を影に日向に助けるのだが・・・。

 

真知子の縁談の相手は官庁で若くして課長になるという勝則。彼は真知子から会いたい人がいると聞き、一緒に探そう、そして会ってみてあなたがその人が好いと言うのなら自分はきっぱり諦めるという。一緒に春樹を探すと春樹の姉が料理屋に勤めていることがわかる。春樹の姉、悠起枝(月丘夢路)は戦争未亡人だが婚家を追い出されていた。彼女には佐渡で教師をしている男性と相思相愛であったが、なんと浜の娘(淡路恵子)に迫られ、関係をもってしまったので彼女と結婚してしまった。

事情を話す真知子に悠怒枝は男性は信じられないと言う。なんだかわかんないんだけど、その話をされた真知子は自分が春樹を好きなのか、勝則がよいのかわからなくなってしまう。そしてこれもなんだかわからなんだけど、春樹を探すのをやめて勝則の妻になることを決断する・・・・

 

しかし、ここでめでたしならこの映画は続かない。

 

結婚しても真知子の心は満たされず、さらに意地悪な姑(市川春代)がいて春樹のことを思うようになる。それを知った夫の勝則は妻の心が春樹にあると嫉妬に狂ったりする。

ここまでくると非常に疑問なのは「たった数時間過ごした春樹」をなんでこんなに好きなのか?って考えると映画ではそれがうまく描かれていからよくわからないのだ。

春樹は春樹でずっと独身をとおしているのは真知子が好きだから・・・みたいだけど、

お互い一目ぼれはわかるが何年も何年もよく知りもしない相手を思い続けるって私は信じられない。特に若い時はたくさんの人と出会うからなおさら。

 

この物語、ラジオ放送から始まったらしいが、その時間は銭湯がガラガラになったという。若い人に人気があったというより、自分の意にそぐわない結婚をさせられた当時の中高年の主婦層はぐっとくるんじゃないかと感じた。

 

真知子もいちいち、伏し目がちで自分はどうしていいかわからないなどと夫にも春樹にものたまう割には、婚家を出て春樹に会いに行っちゃう意志は強烈なんだよね。

 

第2部では春樹を追って北海道まで行っちゃう(笑。

 

パンパン役の野添ひとみが可愛い。

小林トシ子はガイジン(米兵?)の子供を産むパンパンなんだけど

数寄屋橋で綾からあいの子を産むような女は・・・みたいなこと言われたり今なら絶対こんな場面とかセリフはないよね・・・と思う。

 

アマゾンより