日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

暗黒街の対決  1960年 東宝

監督 鈴木清順 脚本 関沢新一 原作 大藪春彦

出演 三船敏郎 鶴田浩二 司葉子 河津清三郎 中丸忠雄 平田昭彦 天本英世

   ミッキーカーチス 田崎潤 佐藤允 中谷一郎 小杉義男

 

アマゾンより

クレジットが三船敏郎が最初だった(笑。

鈴木清順監督の演出爆発!って感じで前作の暗黒街の顔役より暗くなくてエンターテイメント♪主役は三船敏郎だとしか言えない作品。

この作品で思ったけれど、鶴田浩二って東宝の役者さんたちからするとなんだか古臭いんだよね。洗練されてないっていうか都会的じゃないっていうか。暗いっていうか。

そして演技は「男たちの旅路」と全く同じ。この作品ではまだ30代だけどひとりだけ昔の役者さんみたいだった。いつもついて回るあの暗さって、やっぱり彼の生い立ちからくるのだろうか??

この作品の主役はやっぱり三船敏郎鶴田浩二はしばらくスランプでその後東映に移り任侠映画で大ヒット。これ、正解でしたね。あの暗さがいいんじゃないかな。任侠は。

 

汚職刑事の藤丘(三船敏郎)が東京から左遷されてとある地方都市へ赴任する。

その街は警察はあてにならず、ヤクザが幅を利かせている。

小塚組にいた元幹部の鉄雄(鶴田浩二)は新興ヤクザの大岡組の組長(河津清三郎)の女を奪って結婚したが、その妻を自動車事故に見せかけて大岡組の組員に殺されていたのだ。今は組をやめ、酒場を開いている鉄雄だが、大岡組組長を妻の仇として密かに狙っている。

大岡組組長の情婦となったサリー(司葉子)は兄の行方が知れず、組長から居場所を教えてやると言われ情婦となったが、彼女は兄が殺されているのでは?とやはり大岡組帳と組員の間の会話を録音している。

 

汚職刑事の藤丘の行動が謎めいていておもしろい。ところどころ笑いを誘うシーンがあってシリアスだが暗くなく、三船敏郎の飄々とした演技とスピードあふれる展開で時間を忘れた。

司葉子の情婦役もなかなか(笑。

 

鶴田浩二三船敏郎の違いがはっきりわかった作品でした。

鶴田浩二を見るなら1956年の「暗黒街」。三船敏郎なら「暗黒街の対決」。

鈴木清順監督一作目の「暗黒街の顔役」はなんだかはっきりしない作品だった。

しめっぽさからいうと鶴田浩二が活きていたかもしれない。

 

三船敏郎司葉子