日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

鬼畜 1978年 松竹

監督 野村芳太郎 脚本 井手雅人 原作 松本清張

出演 緒形拳 岩下志麻 小川真由美 蟹江敬三 穂積隆信 大滝秀治 

   加藤嘉 田中邦衛 大竹しのぶ 鈴木瑞穂 浜村純 三谷昇

   梅野泰靖 (子役)岩瀬浩規 吉沢美幸 石井旬

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「疑惑」=若い女 「影の車」=子供 「天城越え」=少年、そしてこの作品は人妻が怖い。検事の河井信太郎から聞いた実話をベースに松本清張が小説を書いたという。そのためだろうかとってもリアルに感じる。1970年代の川越の町並も映像に残っている。後にビートたけしでドラマ化されたものより緒形拳のこの作品のほうが好きだ。

BS松竹東急より

 

川越で印刷屋を営む宗吉(緒形拳)の元に料理屋の女中だった菊代(小川真由美)が子供3人を連れて乗り込んできた。7年間、宗吉の妾だった菊代だが、このところ生活費がもらえず、矢も楯もたまらず押しかけたのだ。子のない宗吉の妻、お梅(岩下志麻)は激怒、菊代とも言い合いとなりその晩、菊代たちは印刷屋の土間で一晩明かすこととなったが、菊代は3人の子を置いていなくなってしまった。

気の強いお梅は子供たちは「アンタに似てない」と言い、どうにかしろと宗吉に迫る。

慌てて菊代の住まいに子供たちを連れて行くと、引っ越しのトラックが来てどこかに行ったと近所の主婦は言う。近くの引っ越しやに訊いてもうちは頼まれてないと言われ菊代はどこに行ったのかわからない。

結局宗吉は子供を連れて印刷屋へ帰る。

お梅は子供たちにつらく当たり、どうにかしろと毎日が地獄のようだ。

宗吉はなんとかしてわかった菊代の引っ越し先のアパートに行く。港区のモノレール線路の脇に建つアパートだが部屋には誰もいない。住人に話をきくと引っ越したという。宗吉が訪ねて来た者はいるか?と問うと男が来ていたと言われる・・・。

お梅になんと言われようと、自分の子供だと思っていた宗吉はそこで疑念が生じる。その夜、お梅にまた責められた宗吉は「あんなオンナ!」と吐き捨てるように菊代を呼ぶのだった。

そして一番小さい赤ちゃんが亡くなる。栄養も足らず、育児放棄だが、発見した時は赤ちゃんの顔に棚から落ちたシートがかかっていた・・。

そして3歳の女の子もいなくなる。一緒に入ったデパートの食堂で宗吉が「父さんの名前は?」ときいて「とぉさん」としか答えられない娘を確認し、東京タワーに置いてきてしまう。

最後に残った6歳の利一。妹のように捨てるわけにはいかない。彼は印刷屋や父の名前も言える年齢だ。一度、一人で菊代と住んだ家へ行き、歩いているところを警察官に呼び止められパトカーに乗せられて印刷屋に戻ったことがある利一だ。

お梅は飛び込んだら死体が上がらない伊豆の断崖へつれていけ・・という。初めて新幹線に乗りはしゃぐ利一。結局熱海では降りず、米原まで行ってしまう。さまよい歩いた旅先で目にした能登のポスター。

能登の宿屋でほろ酔い加減の宗吉が利一に自分の子供の頃の苦労話をする。「辛かった」と話す宗吉だが、6歳の子供は聞いているのか、いないのかわからない。興味もなさそうだし。これは自然で良い演出でした。

ゾワゾワしたコワさがあります。岩下志麻が気の強いドスのきいた声を出す演技の役を受けるきっかけとなったのはこの映画からですかね。

季節は夏で、そうそう各家庭にエアコンもない時代の暑さ加減もよくでていた。ほんと、暑そうです。

松竹クラシックより

 

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