日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

喜劇 各駅停車 1965年 東宝

監督 井上和男 脚本 松山善三 原作 清水 寥人

出演 森繁久彌 三木のり平 岡田茉莉子 森光子 山茶花究 左卜全

   毒蝮三太夫 名古屋章

森繁扮するベテラン機関士は上司である山茶花究から機関士をやめてくれと言われるが、まだまだ現役だとして頑張る。その助手についているのが最初は毒蝮で、どうも似ている人だと思っていたらやはり毒蝮三太夫だった。若かった(笑。

その後、三木のり平が助手につく。彼は若くて独身の役だったけれど、1965年だからもう40過ぎているわけで、最初から無理がある。

喜劇と銘打っているから松山善三の喜劇とは・・と思ってみたが、森繁も三木も至って真面目なヒューマンドラマだった。木下恵介に師事していた松山善三らしく、喜劇??ではない。森繁ー三木コンビですでに社長シリーズをやっていたはずだから最初はまたバカバカしいのかと思ったけれど、国鉄マン賛歌みたいな筋書。

何度もいうが、三木の役は無理がある(笑。(最後に憧れだった人から手紙をもらい、いそいそと高崎駅前の喫茶店へめかしこんで行くと、、きっぱりふられるあたりは喜劇というより悲劇で、その後酔っぱらって俺は死ぬんだといって線路に寝ているところを森繁に発見される)でもなかなか好演でだったけれど意外だったけれど、やっぱり老けすぎ(笑。

 

岡田茉莉子は大学生の息子をもつ飲み屋のおかみさん役で20年前に夫(やはり機関士)を亡くしている。まだ若いはずだけれど、(31歳)妙に色っぽくて大学生の息子がいる役は良かった。

東宝はどうして喜劇なんてつけたのか?それに各駅停車という題もよくわからない。

最後は森繁が自分から(目が悪くなっている 加齢のため)機関士をやめる決断をする。あれだけ辞めさせたがっていた山茶花究が「ご苦労様でした」と深々と頭をさげる・・のはそれまでのいきさつからちょっと解せないけれど。

 

映画の最後に「各駅停車 終」とでて終わりになるんで、松山善三は喜劇を書いてはいないのだと思う。短い感動物語だった。