日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

南風 1939年 松竹大船

原作 林芙美子 監督 渋谷実 脚本 伏見晃

出演 田中絹代 佐分利信 徳大寺伸 水戸光子 笠智衆 葛木文子 河村黎吉

   岡村文子

 

 

関西(どこ?)から兄の反対を押して東京へ出ていった田中絹代は恋仲の徳大寺伸と一緒に住むことになる。大家の岡村文子から「奥さん」と呼ばれ、それを徳大寺に言うと、彼はなんとも複雑な表情。そこへお金持ちの娘で洋裁学校へ行っている田中の同級生だった女性が現れ、徳大寺も彼女にまんざらでもなく、一緒に山へ行ってしまう。

田中はそれでも職をみつけ働きだす。同僚が水戸光子。しかし妊娠してそれを徳大寺に言って結婚をせまるがどうも彼は煮え切らない返事をする。

田中が東京へでてきて根津のおじさん(河村黎吉)宅にいた時、上に下宿していた学生が佐分利信で、なにかと田中の世話をする。

徳大寺はお金持ちの娘と一緒に住んでいてそこへ養育費の話をしにいったりするが、そこで徳大寺と喧嘩してしまう。

そんなとき、田舎から兄(笠智衆)が出てきて、家が火事になって焼け出されたことを知る。田中は母のために下駄を買い、徳大寺から300円をせしめ、関西(どこ?)へ帰る兄へ渡す。

水戸光子の手助けで無事出産した田中は赤ちゃんと一緒に関西(どこ?)へ帰るが、母が胃がんで死にそう。

死の床に母に田中はキセルを吸わせ・・え?

田中から買ってもらった下駄を枕元におき死んでしまう。

 

佐分利は無事学校を卒業し、、田中と一緒になる。

田中は徳大寺との子供と女中がいる家で幸せに暮らすが、ある日、佐分利の母親が田舎(どこ?)から出てくる。

田中は子供のいる女ではお母様には気に入られないだろうと子供を産んだ産婆のところへ一時子供を預かってもらうが、子供の具合が悪くなり、あっけなく死んでしまう。

その間、佐分利が母親(葛城文子)に事情を打ち明けるが母は家の体裁もあるといって結婚を認めてくれず、田舎へ帰ると言う。

翌朝荷物をまとめて出ていくところでげっそりした田中が帰ってくる。

 

汽車の中で佐分利が田中の子供が死んだことを告げ、彼が途中で降りて引き返さないと田中がかわいそうだからというと母もそれなら私もまた帰りますという。(それまで結婚に反対だった母)

え?

理由は「子供を亡くした母親の気持ちは私にもわかる」というのだ。

引き返してきた二人を家の窓から田中は微笑みながら手を振る。

(がけ地に立つ家 どこ?)

そこで終わる。

田中絹代、当時30歳。年増だけど童顔で小さいからずいぶん若く見える。

関西出身なのに河村黎吉と田中絹代の母以外なぜか標準語?というのが謎。

そもそも徳大寺とどうやって知り合ったのかも映画ではうかがい知れない。

多分原作には書いてあるのだろうけど。