日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

赤い殺意  1964年 日活

監督 今村昌平 脚本 長谷部慶次 今村昌平 原作 藤原審爾

出演 春川ますみ 西村晃 露口茂 赤木蘭子 加藤嘉 北林谷栄 北村和夫

   宮口精二

 

 人間蒸発から今村昌平をまた見るようになりました(笑。

これもDVDで持っていますが、アップされていたものを視聴。

「にっぽん昆虫記」のような土着感(笑。

 

春川ますみは幼稚園の息子をもつ、亭主関白な夫 西村晃に仕えている。

元々、彼女は本家(西村の実家)の父親と愛人?の間に生まれた私生児で(今 こんな言葉があるのでしょうか?)そこで女中として働き、肺病病み?で体の弱い西村の世話をして西村と無理やり関係をもたされ子供を産んだ(多分)。

途中で彼女は籍に入っておらず、だから西村との子供は西村の弟となっていることがみていてわかる。

西村の母親が赤木蘭子で、最初、どこかでみたような・・・と思ったが「木石」の

赤木蘭子だった。

 

西村が東京へ一週間出張へ行く。子供は赤木蘭子が預かり、春川はひとりで広瀬橋近くの家でひとりで過ごすことになる。

仙台駅で西村と別れひとり家に帰る春川は露口茂に後をつけられ夜中に押し入られる。

当初泥棒目的だったが・・・露口に暴行されてしまう。

 

西村に申し訳ないと家の横を走る蒸気機関車に飛び込もうとするが・・・

この映画、うまく蒸気機関車を使っている。

 

その後、露口は今でいうストーカーと化し、妊娠してしまった春川を松島駅でつかまえ、俺と一緒に逃げてくれなどという。

ここでも蒸気機関車の最後部に乗ったふたりのつかみ合いなどはどうやって撮ったのだろうかとても臨場感あふれて凄かった。

 

ところどころで笑ってしまうようなセリフ(でも本人は真面目に困っている)がちりばめられ、露口を殺すしかないと思った春川は東京行きを承諾し、仙台駅で待ち合わせる前に美容院でなぜか顔にパックまでしてもらい「わたしってなんて不幸なんだべ?」

というシーンは吹き出してしまった。

 

西村は勤め先の図書館の同僚女性と10年以上も関係をもちながら、春川の浮気を疑い嫉妬し、殴ったりする。

赤木蘭子は春川の妊娠を知った時、男の子を産んでくれなどという。

本家の跡取り?のため?

西村か、露口か、どちらの子供かわからない春川。

 

どうなる?どうなる?

と見ていって最後はハッピーエンド。

 

今村昌平の書籍で彼自身が語った言葉は「女性が暴行されればされるほど強くなっていくところを撮りたかった」ようなことを残していたが、さすがにそれは納得できない(笑。

その部分に関しては世の男性の願望でしかない。

現実、女は嫌と言ったら嫌だから。

それはいまだにわからない男性がいるらしく、セクハラ、パワハラと現代ではいうし、

つけまわすのはストーカー、性的暴行は犯罪だ。

 

肺病病みの西村、ストーカーの露口、冷たい赤木蘭子、頭が弱いが肉感的(と赤木が言う)春川、どれもぴったりな外見と演技だった。

 

そうそう、この春川が演じた女性は今村に言わせると「色が白くてポチャポチャして男好きのする」みたいな女性がよいと言っていたを記憶している。