日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

おとうと  1960年 大映

監督 市川崑 脚本 水木洋子

出演 岸惠子 川口浩 田中絹代 森雅之

 

日経新聞私の履歴書岸惠子が「おとうと」で野暮な姉役を演じ、なかなかうまくいかなった演技が、市川監督の「口をポカンと開けていてみようか」一言で開眼とある。

市川が言うには「げんという娘は野暮ったくて色気もなければ頭もよくない。センスなんてかけらもない。弟のためだけを思っている姉なんだ。弟思いはよくでている。でもあんたのげんは艶やかで姿が良すぎる。」と言われたそうだ。

 

2年?ほど前にアップされていて、みたことがある。細かい話の筋は忘れたが、

私の記憶は岸惠子の「自画自賛」(笑、と全く違い、なんの予備知識なくみた最初、

岸惠子はおとうと役の川口浩のおかあさんかと思った(笑。

川口浩は当時24歳だが童顔で、岸惠子は28歳で大人びた顔立ち、すでにパリで暮らしていた。無理やり若作り感満載の岸惠子には終始・????だったし、

冷たい母親は田中絹代であったが、冷たい感じはしないし、森雅之の父親はいらないんじゃないの?と思った(笑。

 

市川監督が求める「野暮ったさ、色気のなさ、センスのなさ」も岸惠子では表現できておらず、たまたま目にしたこの映画の感想で岸惠子が美人で素敵だった・・と書いてあるブログを目にして思わず笑ってしまった。その通りだからだ。

 

大人びた美人、頭もよさそうだし、色気もある。そんなふうにしか見えなかった岸惠子が衣装や化粧、言葉遣いだけは粗野で作った感満載のこの映画は、本人は「開眼」したと思っているのかもしれないが、私にはそうは思えない。

 

市川崑いわく、「げんという姉娘を演じられるのはあなたしかいない」と口説かれたそうだが、娘???とはとうてい思えぬ岸(年齢的なことも含めて)はミスキャスト、母役の田中絹代もミスキャスト、もし、これが岸惠子が若い頃から大人の女性になるまでの映画だったら、娘時代、多少老けていても仕方ない、映画だし、と思えるが、終始娘時代で年齢は変わらない。私なら、岸より8歳年上だが、丸顔童顔な高峰秀子に演じてもらいたいし、母役はもちろん山田五十鈴だ(笑。

 これがヒットしたならばパリへ行った岸惠子と豪華出演陣で売ろうとした大映の戦略勝ちな映画だったと思う。

文芸作品風だが、大映色満載だった。

 

物語の最後は死んだおとうと、その後、岸が誰かに呼ばれて部屋を出ていく。

ドア?だかふすまだかがバタンとしまる・・・風で終わる。

・????・・・・。

成瀬巳喜男のどうにもならないがなんだか納得してしまう結末とは比べ物にならないほどよくわからない(笑。

市川崑はたまに???な映画を作るけれど、これも???な映画だった。

「ぼんち」は最高だと思うが。

 

「おとうと」はその年の映画賞の多くをかっさらった(岸)とあるが、審査の基準てなんだろう?。