日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

戦ふ兵隊   1939年 東宝

監督 亀井文夫

 

wikiより

1937年昭和12年)に始まる日中戦争下に戦意高揚を目的として、陸軍省報道部の後援の元、東宝映画文化映画部(のちの日本映画新社の前身の一部門)が企画製作した。

 

しかし、内容が厭戦的で上映は不許可、その後ネガが処分されて幻の映画だったそうだが、80分のうち60分が現存している。

 

まず、日本軍によって焼き払われた大陸の民家や人々が映し出される。

今見ているからそう感じるのか、なんだか日本軍、ずいぶんヒドイことをしている(笑。

日本軍が前進し、武漢へ・・・武漢・・・武漢って、コロナ以前の私はどこだかわからなかっただろうが、今なら知ってるぞ!(笑。

 

ドキュメンタリーだから、ど~~ん、ど~~ん、と大砲?の音が終始聞こえるのだが、

挿入されている音楽は、なんとものんびり?系で、このど~~ん、という音の正体がなんだか最初はわからなかったくらい静かな映像?だった。

 

ところどころで字幕が入り、日本軍が去ったあと、この地の百姓はまた(平和に?)農業ができるのだ・・・なんてことが書いてあるのだけれど、まぁよく取れば日本軍のおかげで・・・だけれど、日本軍がいなくなったおかげでまたこの村は平和になった・・・ともとれる へんな解説だった(笑。

 

馬が病気になると、その場に捨てていく・・というところでは、「でも、兵士は泣いている・・・」みたいな解説がでてくるし(笑。

移動中にたなびく日本国旗はボロボロだし(笑。

さらに戦死した兵士の祭壇?の前で、その兵士の妻から(夫の戦士は知らない?)送られた手紙を同僚の兵士?が読み上げる場面があって、「こちらは大丈夫ですから、あなたも天皇陛下のために働いてください・・」などというところなんか涙をさそうし、戦争しに中国なんか行きたくないよね?(笑。

 

中国の水は飲めないので水の補給班の到着をまち、美味しそうに飲む兵士の様子や兵士は日本の水が恋しいだの(笑、書いてあるし、

 

大きな町の中心で日本軍の音楽隊が演奏し、それを兵士が座って聞いている場面では、

兵士の肩が破れた制服が映し出されて、とってもじゃないが、戦う高揚感より悲壮感漂う。

 

これでは確かに軍部が怒るわけで(汗、ネガが処分されたのもしかたがない。

だけれど、このフィルムが見つかってよかったと思う。