日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

君と行く路  1936年 PCL

監督 脚本 成瀬巳喜男 原作 三宅由起子

出演 大川平八郎 佐伯秀男 清川玉枝 藤原釜足 高尾光子 山縣直代

   堤眞佐子 

 

題名は恋愛が成就するような感じだけれど、意外に深刻で暗い映画。

 

鎌倉の海岸沿いの別荘?に住む大川平八郎はある人の妾であった元芸者の母、清川玉枝と弟で大学生の佐伯秀男と暮らしている。

近所にはその御大の友達であった藤原釜足とやはり妾の芸者が住んでいて交流がある。

 

大川は東京?で会社勤めをしているが、近所に住む霞(山縣直代)と相思相愛の仲だ。

しかし、霞の家が経済的に苦しくなり、霞は家のために北海道の成金のところへお嫁にいくことを決められる。

 

そんな霞をなにかと助けるのが友達の堤眞佐子で、堤が霞の家へ行こうと電車に乗っていると、佐伯秀男も乗り合わせ、彼は堤を一目で気にいってしまう。

 

霞の結婚のために大川の家に執事がきて霞へ送った手紙を返しにくる。そして霞からきた手紙も返して欲しいというと大川は激高し、霞からの手紙を破り、燃やしてしまう。

さらにアメリカかイギリスへ留学したらどうかという藤原釜足の話からか、霞の家の執事が小切手を清川玉枝へ渡し、留学の足しにしてくださいというが、清川が驚いていてると大川は「手切れ金なんてそんなのは芸者のすることだ」といい小切手を破り捨てる。

 

堤眞佐子から霞からの手紙を受け取った大川。そのまま車に乗り、海岸沿いの崖から車ごと落ちて死んでしまう。

霞は渋谷の堤眞佐子の家を訪ねて初めてそのことを知り、一晩行方不明になるが、鎌倉の家の池で入水自殺していた。

 

堤眞佐子は佐伯秀男に私達ももう会わない方が良いという。

それは自分たちも将来大川と霞のようになるかもしれないという理由だ。

 

物語の悲惨さに比べると音楽はのんびりしていて、悲劇なんだけど、淡々とした印象を受ける。そこが成瀬監督の良いところだと思う。

観客に「泣く」ことを強要するような演出はない。そこも良い。

じわっと悲しくなる。

堤眞佐子が美女じゃないところも良い(笑。

 

堤眞佐子だと私は「乙女ごころ三人姉妹」が一番良いと思う。

これ書いたっけ?忘れました(笑。