日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

サムライの子   1963年 日活

監督 若杉光夫 脚本 今村昌平 原作 山中恒

出演 小沢昭一 南田洋子 田中鈴子 浜田光夫 松尾嘉代 田代みどり

   上田吉二郎 高橋千恵子 武智豊子

 

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紋別から父(小沢昭一)に引き取られ小樽の市営住宅へ移ることになったユミ(田中鈴子 小学校5,6年?くらい?)からみた現実世界の物語。

久々に感動。

ユミの母が死んで御棺を運んでいるところから始まる。父は母とユミを捨てて小樽にいたが、ユミ一人となったので引き取る。近所でユミの世話をしていたおばあさん、武智豊子が良い(笑。

 

小樽の市営住宅に住めると胸躍らせるユミだが、着いた場所はバラック同然のサムライ部落だった。サムライというのはくず拾いで生計をたてている人達の差別用語だそうだ。

小学校へ転校したが周りから住んでいる場所をみんなに言わない方が良いと言われる。

ある日、ユミの後を数人の男子同級生がつけて来た。

ユミは家へ帰ると自分の素性がわかるのでお金持ちの家へ逃げ込む。

わざと「ただいまぁ」などという。

クラスメートはそれからユミの家は女中のいるお金持ちだと思う。

 

しばらくすると「野武士」と言われる前科のある人達が住むようになった。

野武士というのは泥棒やかっぱらいなど、働かない人達、悪いことをする人達のことで

そのうちの子供の一人がユミに学校へ行きたいから先生へきいてくれと頼む。

 

ユミの新しい母はその野武士出身の女で(南田洋子)、ドモリで数字の勘定ができない。やはり学校へ行かなかったので数にはてんで弱い。

南田洋子の捨て身(笑 の演技もすごい。

 

最初、なんだか「にあんちゃん」のパクリ?みたいな映画だなと思ってみていたが、

途中からどんどん面白くなっていく。

 

ユミを演じた田中鈴子という女の子も良かった。

 

なんだかんだで(詳しくは映画見てください。某巨大動画サイトで観れます)

最後は明るい希望をもって終わる。

 

田中鈴子という子役はこの映画1本だけでその後の出演作はないらしい。