日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

路傍の石  1938年 日活

監督 田坂具隆 脚本 荒巻芳郎 原作 山本有三

出演 片山明彦 滝花久子 山本礼三郎 小杉勇 井染四郎 吉田一子 見明凡太郎

   江川宇礼雄 潮万太郎 沢村貞子 松平富美子 吉井莞象 三島鉄

   星美千子 青木虎夫 須田大三

 

滝花久子・片山明

山本有三原作。この物語は小学生の頃読んでいたく感動しました。

 

昭和13年、出演俳優もみな若く、特に山本礼三郎ってこんな顔だったんですね。江川宇礼雄無声映画時代とは違って体格もよくなり、やはり気づきませんでした。この頃が一番ハンサムだった?かも。番頭役の見明凡太郎もよーく見て納得。小杉勇はこんな感じ(笑。井染四郎が一番美男子でした。子役で青木富夫に似ている男の子は須田大三という子役でした。

山本礼三郎

江川宇礼雄

見明凡太郎

井染四郎

須田大三

明治中期、高等小学校に通う吾一(片山明彦)は成績も良く、中学へ行きたいと願うが父(山本礼三郎)は家におらず、母、おれん(滝花久子)が袋貼りの内職をしている。

同級生で呉服店伊勢屋の息子、麻太郎(三島鉄男)は勉強はできないが中学へ行く。

麻太郎の妹のおぬい(星美千子)は吾一を贔屓には優しい。

おぬい役はなんと星美千子で、確かに星美千子だ!東映でポッとでた中年の女優さんだとばかり思っていましたが、子どもの頃から芸能界にいたんですね。なんと1927年生まれで存命中。

星美千子

近所の書店店主、稲葉屋の黒子(井染四郎)は成績の良い吾一を中学に行かそうと支援を申し出るが、そこへ父が帰ってきて断ってしまう。吾一の父は元士族であるというプライドが許さないのだ。

片山明彦・星美千子

結局、吾一は同級生、麻太郎、妹のおぬいの伊勢屋へ奉公することになった。

するとどうだろう。あれだけ優しかったおぬいは態度が激変。毎日目まぐるしく働く吾一が使いで駅へ行くと、東京へ行くという吾一の恩師、矢野先生(小杉勇)と見送りに来た稲葉屋の黒子がいた。吾一は矢野先生に手紙をくださいと言って別れることとなる。

杉勇・井染四郎

中学へ行った伊勢屋の麻太郎だが、宿題ができず、吾一にやってもらう。そうこうするうちに無理が祟った吾一の母が亡くなる。

吾一は麻太郎が貸してくれた教科書で勉強に没頭してしまい、伊勢屋の主人から商売人には向かないからと店を出されてしまう。東京の縁者の元へ行くことになった吾一はそれでも胸をふくらませ東京へ。

ところが久美田住江(沢村貞子)の家では彼女や彼女の妹、加津子(松平富美子)から小僧呼ばわりされてこき使われる。

沢村貞子・松平富美子

その家に下宿している医学生が潮万太郎と江川宇礼雄

潮万太郎・片山明

下宿代をためている豪快な絵描きの熊方(江川宇礼雄)は吾一にポンチ絵をみせて勇気づける。

江川宇礼雄

吾一は勉強がしたくて住江に昼間働くので夜に中学へ行かせてもらえないか?と頼むが一笑にふされる。ランプ掃除していた吾一はランプを全て投げつけその家を飛び出すのだ!

がんばれ吾一!な物語ですが、山本有三は当時の時代背景に影響され、断筆し、未完のままとなった。

島鉄男・片山明