日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

歌女おぼえ書き  1941年 松竹

監督 清水宏 脚本 長瀬喜伴 八木沢武孝

出演 水谷八重子 上原謙 飯田蝶子 朝霧鏡子 河村黎吉 三好栄子 

   日守新一

 

動く水谷八重子をみたのは初めてです(笑。

 

旅役者の水谷八重子は旅の途中で泊まった宿屋で茶問屋の主人に踊りを披露した。

旅の若い衆がその宿屋へ水谷を売ろうと算段するが、水谷は拒否する。そのことを知った茶問屋の主人は水谷を預かることにして(お金を払ったのかは定かではない)自分の家へ連れていく。

家には朝霧鏡子の女学生の娘と次郎という小学生の男の子がいる。

長男(上原謙)は東京の大学に行っているという。

 

どうもはっきりしないのは水谷の処遇だ。茶問屋の主人の妾でもなさそうだった。

ご主人は「普通の生活がしたことはない」 という水谷に、娘に踊りでも教えてくれればよいといいながら川を下っていく場面がある。

 

その主人の知人は河村黎吉で娘は茶問屋の娘、朝霧鏡子と同級生だ。将来は上原謙との結婚話もある。

 

水谷の街の評判は悪く、使用人にもあの人と一緒に住みたくないなどと言われ、家の子供達も水谷のことで同級生から色々言われる。

 

そんな時、主人がぽっくり死んでしまい、東京から帰った上原は実家が借金だらけだったことなどを知り、大学を辞めて実家に戻るつもりだが、水谷が自分が残った子供たちの世話をするから大学へ戻って勉強してくださいという。

上原は他人に兄弟の面倒をまかせられないが、妻なら任せられるといい水谷に求婚する。うなずく水谷・・・。

 

使用人も辞めさせ、休業した茶問屋の山平にアメリカのスミス商会から暖簾を使わせてほしいといわれる。

考えた水谷は、暖簾よりお茶を売りますといい、お茶集めに奔走するが、茶農家はすでに他の問屋に売る約束をしているし、問屋のご主人を集めて頼んでもよい返事がもらえない。

 

どうなる!←案外すんなり解決すると思ったけれど、水谷に困りようがよく撮れてました。

スミス商会からは催促され、水谷は意を決して茶協会で問屋のご主人に山平の再建は後回しにしますから、お茶を分けてもらえないかと談判する。

するとそれならということになり、お茶を集めることができた。

 

使用人も戻り、活気のでた山平商店だが、上原と結婚するつもりの朝霧の同級生を知り、昔の旅仲間がお金を無心にきたのでお金はないけれど自分をどこかへ連れてって欲しい、堅気の暮らしは息がつまる・・・といい家をでてしまう。

 

元の旅役者に戻った水谷だが、上原が探し当てて訪ねてくる。

水谷が自ら身を引いたと知った上原は水谷に彼女は結婚した。僕の妻は君だ!家出した妻を連れ戻しにきたのだ・・という。(なんという決め台詞 笑。

 

そして字幕で水谷は上原の妻になった・・で終わる。

 

清水宏監督なので子供(次郎という少年)の描き方が自然でうまかった。

動く水谷八重子(笑 のセリフ回しは大げさで独特。栗島すみ子とか岡田嘉子のような喋り方だった。