日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

新道 前編 朱実の巻 後編 良太の巻  1936年 松竹

監督 五所平之助 脚本 五所平之助 野田高梧 原作 菊池寛

出演 田中絹代 川崎弘子 佐分利信 佐野周二 上原謙 高峰秀子

   斉藤達雄 吉川満子 岡村文子 

 

デコちゃん12歳。声がまだ子供だが、役では15歳。

外交官の父、斎藤達雄の娘、田中絹代は霧ケ峰へ避暑にでかけ、途中道を教えてくれた佐野周二に恋をする。しかし、父は同じ外務省に勤める男性との結婚を望んでいる。

 

田中の従姉?川崎弘子はフランスへ絵の留学へ行くという佐分利信にせめておじさん(斎藤達雄)に自分との結婚をお願いしてから旅立って欲しいというが、二人とも言い出せぬまま佐分利はフランスへ。

 

田中絹代佐野周二との恋を発展させているが、ある日佐野の家へ行くと母である岡村文子に交際を反対される。

 

ところが・・・飛行機の操縦中(佐野の趣味?)墜落し、佐野は死んでしまう・・・。

 

とここまでが前半なんだけど・・・

川崎弘子がなぜ田中絹代の家に居候?しているのかわからない。そもそも最初は田中が川崎のことをお姉さんと呼んでいたので姉妹かと思ったが、川崎がおじさま、おばさまと田中の両親を呼ぶのでおかしいなぁ・・と思っていた。

 

佐野周二の仕事もなんだかわからない(笑。

 

最初、これが前半だと思わなかったので(普通の映画1本の長さ)え?これで終わり?かと思った。

 

そして後半

佐野周二には丸ビルに勤める弟、上原謙がいる。

そしていきなりなんだが、田中絹代は佐野の子供を宿していた。

一体いつ?(笑 前半でそんな描写は一切なかった・・・時代背景もあるのかもしれない、なんせ脚本が五所と野田高梧だからねぇ。

 

えええ・・・と思いつつ見ていく。

 

田中はひとりで生きていく決心はするが、子供の籍だけは佐野の家にいれて欲しいのが望みだ。それを弟の上原謙と相談する。

 

上原の物事にこだわらない役がよかった。飄々としていて、女性が生きがいをもってやれる仕事なんてないから、もし子供がいても結婚してくれる男性があれば結婚したほうが良いとかいうが、子供の籍のことは自分の責任において母を説得するともいう。

 

ある日、上原は田中に「僕と結婚すれば子供が私生児にもならない、結婚してすぐ別れればよい」と提案する。

田中も了承し、その後男の子が生まれる。

家は別に構えて上原は田中の家に夕飯を食べたあと、実家へ帰る生活を送るが、上原、田中ともに惹かれあっている。

 

突然、上原の母が田中に家にやってきて、上原はあなたの家に勤め帰りに毎日寄るから風邪をひいて寝ています。代わりに私が来ましたといって生まれた孫を抱きに来る。

いぶかる田中に、「いつまでもこんなことをしていないであなたも荷物をまとめて家に来なさい」と田中を嫁よして認める。

 

佐分利がフランスへ行ってしまった川崎は、おじさんの勧めで最初は田中絹代にご執心だった外務省の男との縁談が持ち上がる。

田中はきっぱり断れというが、川崎はずるずると返事ができないでいる。

 

晴れて本当の夫婦になった上原と田中が銀座?の喫茶店で待ち合わせていると上階でフランスから帰国した佐分利の展覧会をやっていた。階段から降りてくる川崎をみつけ後を追うが、川崎はタクシーに乗ってどこかへいってしまう。

上へあがって佐分利に挨拶する田中に、佐分利は「女は誰とでもいっしょなれるんですねぇ・・」と(結局フラれた)いうと田中は「いいえ、女は誰とでも結婚できるわけではないのです。」という。

 

そう、この時代、女は誰とでも結婚はできなかった(笑。

 

で、デコちゃんは田中の妹役で12歳ですでに田中より背が高い。

 

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