日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

お国と五平   1952年 東宝

監督 成瀬巳喜男 脚本 八柱利雄 原作 谷崎潤一郎

出演 小暮実千代 山村聰 中村雀右衛門 三好栄子 田崎潤 藤原釜足

 

武家社会の仇討物語。

 

山村聰と小暮実千代、お互い恋するが、小暮の父が「臆病者?と一緒にさせられない」

田崎潤と夫婦になった小暮。

ある夜、田崎が外出すると闇討ちにあい殺されてしまう。

斬ったのは山村聰だった。

 

木暮(お国)と家に仕える中村雀右衛門(五平)は仇を討つための旅に出る。

 

道中での景色が美しい。小暮実千代は色っぽくてびっくり。

ただし武家の奥方様としてきちんとしてるのにあの色気はなんだ(笑。

 

道すがら、仲の良い家族連れや夫婦をみてお国は仇討ちに疑問を感じたりする。

五平にはいつも手間ばかりかけてすまないと思いつつやはり五平に頼ってしまうお国だ。

五平はお国に仕え、一生懸命働く。

 

お互い、意識しあうようになるが、口にだせない。

ある晩、五平はたまりかねずお国を好きだと口に出してしまい・・

二人は結ばれる。

お国はこのまま仇の山村がみつからないとよい・・と思いながら旅を続けるが、

五平ははやく山村をみつけて本懐をとげ国許へもどって出世したい・・などふたりの思いが違ってくるが・・・

 

実は山村はずっとお国と五平の後をつけていた。

宿屋で結ばれた晩、隣の部屋で一部始終を聞き、五平がいない隙にお国の部屋で

自分は死にたくない、お国と五平仲も知った。もう自分は二人の前に姿を現さないから

このまま見逃してくれ、お国も五平とどこかで一緒に暮らせばよい・・という。

 

そのことを五平に言い出せぬまままた旅にでたお国だが、結局五平の望み通り

山村と対決する。

 

臆病者の山村は五平に切られるが、最後に自分とお国は身体の関係もあったのだ・・・と一言。そこで五平はとどめを刺す。

 

お国は山村の言葉を否定もせず・・・

 

見事山村を討ち取った五平、お国に「どうかこれからも可愛がってください・・」と頭を垂れる。

国許へ足をすすめる二人だが、五平の心中、お国の心中、なんだか暗い映画でした・・。

 

ところで、五平の若々しさははまり役だったけど、山村聰は年齢的にどうみてもミスキャスト(笑。なんかただいやらしいおじさん?にしかみえないのだ(笑。

 

まぁ、ちょっとしか出てこないけど。

 

宿屋で具合が悪くて寝込んだお国を五平は寝ずに看病する。

それをみた宿屋の女中があんないい男に看病されたいなどと噂話をしたり、旅役者と同泊になったり、大道芸人が踊っていたり・・そんなところが成瀬っぽいと思った。

 

(多分)ふたりは国許で五平は出世し、お国の婿になるのだろうけれど、はっきりさせないところが良い(笑。