日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

若い狼  1961年 東宝

監督 脚本 恩地日出夫

出演 夏木陽介 星由里子 菅井きん 西村晃 鈴木和夫 田中邦衛

   飯田紀美夫 小栗一也 一の宮あつ子 織田政雄 中丸忠雄 児玉清

 

最初は夏木陽介と星由里子の青春純愛物語かと思ったが、みていくにつれ、そんなもんじゃない映画でした(笑。

 

少年院から田中邦衛と共に出所した夏木陽介は、故郷に帰っても貧乏暮らしで母の菅井きんにはやく働くようにいわれるが、炭鉱はほぼ廃坑状態だった。

幼馴染の星由里子は東京へ行ったという。

星を追って東京へでた夏木陽介は、中学の同級生でテンプラ?学生で組事務所に出入りしている鈴木和夫に迎えにきてもらう。そこにはズベ公になっている星由里子がいた。

 

鈴木和夫はどうにかして夏木陽介を組にいれようと画策する。鈴木はいろいろな組へ顔をだすが、自分は組に所属せず、知能派を自称している。

 

夏木陽介はそれでも堅気の生活がしたいと職安へ行ったりするが、米穀通帳がいると知りうなだれる。

新宿の街を歩いていると、少年院で一緒だった田中邦衛と出くわす。田中邦衛は新宿の組に入ったという。紹介してやると言われるが、自分は給料は安くても堅気になるのだという。

 

ある日、中学の恩師で東京へ転勤になった、小栗一也が新宿の病院へ入院していることを知り、仕事を紹介してもらおうと頼むが、先生もその妻の一の宮あつ子も田舎へ帰ったほうがよい・・・と電車賃を渡される始末。それを聞いた同室の織田政雄は自分の取引先のパン屋で若くて真面目な青年を探しているから、先生に保証人になってもらって紹介しようか・・・というが、先生とその妻は黙ってしまう・・・少年院帰りの夏木の保証人にはなりたくない様子に夏木はいたたまれず、自分から少年院帰りだと織田に言って「みんな口先だけきれいごとを言うんだ」と病室をでていく。

 

星由里子は、当初、組にはいって売り出しなよと夏木に勧めていたが、夏木の堅気になるんだという強い決心に自分もちゃんと働こうと、顔見知りの組の若い幹部、飯田紀美夫に相談にいくと、飯田は夏木に会いたいという。

それは飯田が3年前にやはり少年院出所後、ヤクザになったがこんなオレのようにはなるなと忠告しようとしたからだ。

 

新宿では組同志の小競り合いがおこっている。

 

結局少年院帰りでは堅気にはなれないのだと夏木はテンプラ学生鈴木の待つ喫茶店にいき、そこで幹部の西村晃を紹介され、組に入る。

出入りだというので夏木は西村からなにかあったらこれで相手を刺せとドスを渡される。

新宿の街角で敵対するヤクザ、飯田紀美夫を見つけた西村の組の若い衆とは飯田に暴行を働き、最後に夏木が飯田を刺すと飯田は死んでしまう・・・。

人が取り巻いてみている。野次馬のひとりに児玉清がいて隣の恋人?が「いやぁね」というと「これじゃ、危なくて歩けない」と一言。

 

星由里子はパチンコ屋で働くが、主人に口答えして追い出される。

店先でなにかを決したように結んでいた髪をとき、普段、地下道で三味線をひいているおばぁさんにお金をめぐんでいたがそれもせずに歩き去る。

(ここで星由里子も本格的に新宿の住人、ヒモをみつけ、売春婦?になるのだろうと思わせる)

 

周りがヤクザになれとすすめるのにそれでも堅気になろうと努力する夏木だが、

結局また罪を犯してしまうという暗いが現実的な怖い映画。

しょうわ35,6年の新宿近辺の映像も貴重な映画でした。

 

夏木陽介も星由里子ももういないんですよね。

 

懐かしい顔だったのが中学の先生役の小栗一也と組の大幹部でちょっとでてくる中丸忠雄

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中丸忠雄 ニヒルないい男だった

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小栗一也 時代劇にもたくさん出ていたような・・・