日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

禍福 前・後編 1937年 東宝

監督 成瀬巳喜男 脚本 岩崎文隆   原作 菊池寛

出演 入江たか子 高田稔 竹久千恵子 逢染夢子 大川平八郎 丸山定夫 英百合子

   御橋公 伊藤智子 清川虹子 清川玉枝 北林谷栄 

 

入江・高田ユニットとある。このコンビはしばらくドル箱だったに違いない(笑。

王道メロドラマ。入江の大和撫子ぶりと竹久千恵子の先進的な考えの女性、逢初夢子のモダンガールの洋装が光る。

 

長い映画だが、当時の東京 上野、青山?湯島?近辺がでてきてそれだけでもおもしろい。高田・竹久と逢初・大川夫妻の住む豪邸は今みても遜色なくて超大金持ちだったに違いない(笑。

 

親友、逢初夢子から高田稔を紹介された入たか子は順調に交際を続けているが、入江の家では将来外交官になる高田とは家が釣り合わないと特に父 御橋公は良く思っていない。それでも二人は交際を重ね、とうとう関係してしまうが、きっと君を妻にするという高田の言葉に安心する入江だ。

高田の実家は桐生で繊維工場を経営しているが、お金がいる。持参金付きの同じ桐生のお金持ちの家の娘との見合い話が持ち上がり、高田の父 丸山定夫、母 英百合子は乗り気だ。高田は入江のことを話すが、父はとりあわず、立腹する。困った高田はお見合いだけして断ろうとその娘、竹久千恵子と見合いをするが・・・

なんと、高田は竹久を一目で気に入ってしまう(え?

 

入江は高田の子を身ごもっているが、それは言わずに別れる・・・。

入江への言い訳は、家の事情で断れなかったという高田だが、入江は信じない。

(当然だ 怒)

 

赤ちゃんは可愛い女の子だった。

入江と高田の仲を知らない高田の妻となった竹久千恵子は、なぜか入江を気に入って

赤ちゃんと自分の家に来てほしいといい、半ば強引に入江を家に呼ぶ。

高田は半年ばかりフランスへ行っているから気兼ねがないという。

 

入江は竹久の夫が高田であることを知っており、高田が帰ってきたらどんな顔をするか楽しみにしているなどと友人の逢初に手紙を書くが、赤ちゃんが病気になった時に献身的に世話をする天真爛漫な竹久をみると罪悪感も感じる。

 

ある日、逢初が入江に会いに竹久の家を訪ねた。家に上がらず、外で入江と話しているところをみた竹久は、過去、東京のダンスホールに高田と一緒の時に怒って高田を話している逢初をみたことがあり、なんとなく事情を察するが何も言わない。

 

高田が帰ってきて入江と赤ちゃんが家にいるのをみて顔面蒼白になる。竹久は高田にも何もいわない。

入江は復讐のつもりで竹久・高田夫妻の家にいたが、やはりいたたまれずその家をあとにする。行った先が青山の逢初・大川夫妻の家。

そこへ高田が入江と話したいと来るが、逢初は入江は来ていないとしらをきる。

 

家に帰った高田が妻に全てを告白しようとすると妻、竹久は「私に全て任せろ、これ以上なにも言うな」といって青山の逢初の家へ行き、なんと入江の赤ちゃんと引き取るという。

入江にとって「戸籍にいれる」という言葉で赤ちゃんを手放す決心をする。

戸籍・・・このまま父無し子として育つより、裕福で両親揃った戸籍の子として育った方が幸せになりそうだが・・・

 

だけどずいぶん勝手な提案だなぁ(笑。

結局赤ちゃんは高田・竹久に引き取られ、入江は乳児院?で働くことに・・・終わり

 

最後の最後まで高田稔には腹立たしかった(笑。

 

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昭和12.3年頃の豪邸からでてくる竹久千恵子

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豪邸をバックに話す入江・逢初

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いたたまれず竹久の家をでる入江・・・豪邸の町!